現代造佛所私記No.104「法友と梅ジャム」
背中越しに、クツクツと音がする。 梅シロップを漉したあとの果肉を、吉田がじっくり煮ている。手作りの木べらを片手に、語らぬ背中はすっかり「森の民」らしくなった。 恵の果実を水にくぐらせて、火と鍋で作るおいしい保存食。部屋い...

背中越しに、クツクツと音がする。 梅シロップを漉したあとの果肉を、吉田がじっくり煮ている。手作りの木べらを片手に、語らぬ背中はすっかり「森の民」らしくなった。 恵の果実を水にくぐらせて、火と鍋で作るおいしい保存食。部屋い...
神社仏閣や伝統文化に息づく、文化や文化財を軸とした人々の生(なま)の声や姿、「今」起こっている出来事や思いを、さまざまな媒体を通じて多くの人と分かち合いたい。そしてそれを記録として未来に渡したい。 この思いが、当工房で展...
「文化財を守る」。 ただ歴史をなぞる、知識を得るためだけなら、オリジナルを守る必要もなく、レプリカや映像、文字情報で事足りるのかもしれない。そうして、淘汰されたものは数知れない。 だけど、オリジナルを目の前にした時、ある...
「なぜ文化財は守らないといけないんですか?」 3年ほど前、吉田は工房前で囲み取材に応じていた。製作は鎌倉時代に遡ると見られる仁王像の修理について、ある大手新聞社の記者からそう訊ねられた。 ふと思い出し、今日夫婦で話題にな...
1000日毎日執筆すると誓って 100日目を迎えた。スタートした頃は「100日目はさぞ感慨深いだろう」と漠然と思っていたが、いざその日が来てみるとはまったく違った。 その当日である今日は、学会ポスターのデータ入稿締切日だ...
今日で99日目。この連載のことだ。 「1000日書き続けよう」と決めて始めてみたものの、正直、三日坊主でもおかしくなかった。 続いたことの理由は、一緒に始めた友たちの存在と、協力してくれる家族、読んでくださる皆様のおかげ...
文化財の学会に向けて、事例発表のポスターをつくっている。 先月、要旨集の原稿を書いたときにも思ったことだが、「よし、まとまった」と一息ついて見返すと、必ず何かが抜けている。肝心なひとことが洩れていたり、もうひとつ先まで言...
本格的な梅雨入り前の晴れ間。我が家の周りでは今、夥しい数の蝶々が舞っている。 生の喜びに溢れ、玄関先でひらひらと千々に舞う蝶たちは、我が家の勝手口の軒下に吊るされた半鐘の周りにも広がる。 「時を知らせる鐘」に止まった「変...
夕食のあと、ふと立ち止まった。食器に手をのばしかけて、「蛍はまだ飛んでいるだろうか」と思ったのだ。 ここのところ、夜は慌ただしかった。県外への出張、連夜のZoomミーティング。昨日は娘が急に高熱を出して、心の置き場もない...