現代造佛所私記 No.43「休日の朝の匂い」
日曜日の朝はゆっくりだ。体内時計優先で、光や匂い、味に素直に心開く日でもある。 夫は休みの日も、起床時間は少しゆっくり目であること以外は、作業場のルーティンを守る。 仏像に触れない日はない彼の人生を、今日も讃えたい。讃え...

日曜日の朝はゆっくりだ。体内時計優先で、光や匂い、味に素直に心開く日でもある。 夫は休みの日も、起床時間は少しゆっくり目であること以外は、作業場のルーティンを守る。 仏像に触れない日はない彼の人生を、今日も讃えたい。讃え...
娘を連れて一度、遊園地に行ったことがある。4年前の春のことだ。 5歳の誕生日のお祝いだった。 遊園地のゲートで、雲一つない青空と、やや強い風に乗ってやってくる甘いお菓子と花の香りに胸が高鳴った。 私は、はしゃぐ娘のスカー...
1000日コラムチャレンジ、気がつけば40日が経っていた。 昔、小学校の宿題で「100日間、何かを続ける」という課題があった。私は4コマ漫画と同音異義語を毎日書き続けていた。 担任の浜地先生が、「なんでもいい」とおっしゃ...
「あぁ、どうしよう」 茶道の稽古を終えた帰り道、くねった山道を上りながら、私は何度もつぶやいていた。 行きはよいよい。 山桜に花桃、春の匂いに誘われるように、抹茶と和菓子、師匠との会話を楽しみに車を走らせていた。けれど帰...
春の鳥たちの声が遠くに聞こえる、高知の山間。 人気のない山奥の仏像工房で、一つの像が完成しようとしていた。 「カサ、カサカサ…」薄葉紙の乾いた音が、耳をくすぐる。 傷つけないよう、そっと包みをほどくと、像の朱色の衣がふわ...
今日は花まつり。お釈迦さまの誕生日だ。 夫と娘は近くの寺の花まつりに出かけたが、私は外せない仕事があり、気づけば夕刻を迎えていた。お下がりの甘茶をいただきながら、一息入れる。 例年、我が家では筍=仏影蔬(ぶつえいそ)を誕...
日華が旅立って2ヶ月が過ぎた頃、テンとロイロがいつの間にか家を離れた。 テンは山道で再会し、一度は家に帰ってきた。だが、再び隙をついて脱走しそれっきりだ。ロイロはもう2年姿を見せていない。 それでも、テンはまだ山のどこか...
嘘だ、と思った。 突然の別れを、受け入れるのはむずかしい。体に触れれば、まだ温もりが残っている気がして、目を閉じれば、いつもの声が聞こえてくる気がした。 段ボールに毛布を敷き、そっと体を寝かせる。どうしても出かけねばなら...
日華の子猫たちが生まれてから、健康管理のため体重を毎日測った。 素晴らしい健康優良児っぷりで、早々に測定をやめることになるが。 里親を探していたので、子猫たちは便宜的に「クロイチ(黒1)」、「シロクロ(白黒)」、「クロニ...
黒猫マダム・日華の臨月が判明した3日後、午前3時。 彼女は静かに産気づいた。 「ニー!ニー!」という、かすかな鳴き声が、夜の沈黙を破った。 日華はゴロゴロと喉を鳴らしながら、生まれた赤ちゃんをせっせと舐め、第2子、第3子...