現代造佛所私記 No.26「あの日の千手様」
夜にかけて風と雨の音が強くなった。桜を散らす、春の雨だ。 「座らせて」。 書き物をする私の横に、ふわっと娘が座り込んだ。 引っ越してきた時のこと、覚えてる?と訊ねると、瞳をくるんと数秒上にむけてから、不思議そうに私の目を...

夜にかけて風と雨の音が強くなった。桜を散らす、春の雨だ。 「座らせて」。 書き物をする私の横に、ふわっと娘が座り込んだ。 引っ越してきた時のこと、覚えてる?と訊ねると、瞳をくるんと数秒上にむけてから、不思議そうに私の目を...
「右手の10番へどうぞ」 決して広くはない駐車場で、ハンドサインと軽やかな声が迎える。要所に配備された警備員たちが、今日も見事な連携を見せていた。 私も子どもも心躍らせてやってきたのは、「図書館」。我が家にとって一番のア...