現代造佛所私記No.98「伝えること」
文化財の学会に向けて、事例発表のポスターをつくっている。 先月、要旨集の原稿を書いたときにも思ったことだが、「よし、まとまった」と一息ついて見返すと、必ず何かが抜けている。肝心なひとことが洩れていたり、もうひとつ先まで言...

文化財の学会に向けて、事例発表のポスターをつくっている。 先月、要旨集の原稿を書いたときにも思ったことだが、「よし、まとまった」と一息ついて見返すと、必ず何かが抜けている。肝心なひとことが洩れていたり、もうひとつ先まで言...
2025年5月31日、ドイツ人インターン生・Mariekeが高知を旅立った。 およそ3週間という時間は、長いようであまりにも短かったけれど、その一日一日が、驚くほど豊かで、まるで季節ごとの七十二候のように異なる光を持って...
ついに高知最終日となった。明朝、彼女は出発する。互いに別れについては触れないが、どこかで感じ合っているものがある。無言のうちに「最後までこのインターンを良きものにしようね」という約束を交わしているような、そんな空気が漂っ...
まきでら長谷寺への表参道は、苔むした石垣とむき出しの木の根に縁どられ、長年の風雨と足音を受けて、いまも息づいている。 あと数えるまでもない滞在期間を惜しみながら、日々を過ごす私たち。ハイキングが大好きなMariekeは、...
朝から吉田仏師と二人で、平安時代の仏像の修理前の影をしていた。背景紙をひき、三脚を立て、光を調整し、カメラの設定を最適化しながら、像の細部を一枚ずつ丁寧に記録する。高価な機材はないが、三脚と一眼レフ、照明と背景紙を揃え、...
連夜の夜なべがたたったか、朝から身体が鉛のように重かった。休み休みでないと動けず、うっかりお皿を一枚割った。頭も鈍く、昨日書いたコラムは、半ば夢のなかで綴ったものだった。いざ読み返すと、誤字脱字に赤面する。 そんな一日も...
日曜市の通りを歩く。嵐が過ぎた後の陽射しは強く、赤いテントを通してオレンジ色が差し込んでいた。 ドイツ人インターン生・Mariekeたっての希望で、今日は高知市の日曜市へ。目当ては、包丁。大切なボーイフレンドへの贈り物な...
パラパラ小雨が止み、空気がすっと透き通った。今日は、ドイツからのインターン生Mariekeを連れて、「山のくじら舎」(高知県安芸市)へ。 迎えてくださったのは、萩野社長とスタッフの湊さん。事務所から製材所、作業場のすみず...