現代造佛所私記No.144「オーバースペック」
400年の伝統を受け継ぐ工芸の職人さんが、はるばるこの高知の山あいにある、私たちの工房を訪ねてくださった。 都にほど近い地で、長年、歴史の重みを背負いながら伝統技法を守り抜いてこられた方だ。 私たちの工房が歩んできた道と...

400年の伝統を受け継ぐ工芸の職人さんが、はるばるこの高知の山あいにある、私たちの工房を訪ねてくださった。 都にほど近い地で、長年、歴史の重みを背負いながら伝統技法を守り抜いてこられた方だ。 私たちの工房が歩んできた道と...
2023年10月から2025年3月まで、高知新聞の「閑人調」にて、毎回520字のエッセイを綴らせていただいていた。 その連載を読んでくださっていた生涯大学の学生さんが、私を講師として推薦してくださり、今年1月に初めての講...
ぼんやりと、両目に焦茶色の楕円形が映っている。 それは、黄土色の平面の真ん中に、ちょこんと居座っていた。 私は胡座をかいて、手のひらを重ねて座っている。折り畳んだ足と手を背骨にぶら下げ、城満寺(徳島県)の住職である田村さ...
雨の夜だった。学会を終えて富山から車を走らせ、京都に着いた頃には22時を過ぎていた。車のライトに照らされ、闇に小雨が白く舞っていた。 静かな住宅街を北へ進むと、こんもりとした深緑の一角が姿を現した。 この日、私たちは吸江...
神社仏閣や伝統文化に息づく、文化や文化財を軸とした人々の生(なま)の声や姿、「今」起こっている出来事や思いを、さまざまな媒体を通じて多くの人と分かち合いたい。そしてそれを記録として未来に渡したい。 この思いが、当工房で展...
「文化財を守る」。 ただ歴史をなぞる、知識を得るためだけなら、オリジナルを守る必要もなく、レプリカや映像、文字情報で事足りるのかもしれない。そうして、淘汰されたものは数知れない。 だけど、オリジナルを目の前にした時、ある...
「なぜ文化財は守らないといけないんですか?」 3年ほど前、吉田は工房前で囲み取材に応じていた。製作は鎌倉時代に遡ると見られる仁王像の修理について、ある大手新聞社の記者からそう訊ねられた。 ふと思い出し、今日夫婦で話題にな...
文化財の学会に向けて、事例発表のポスターをつくっている。 先月、要旨集の原稿を書いたときにも思ったことだが、「よし、まとまった」と一息ついて見返すと、必ず何かが抜けている。肝心なひとことが洩れていたり、もうひとつ先まで言...
2025年5月31日、ドイツ人インターン生・Mariekeが高知を旅立った。 およそ3週間という時間は、長いようであまりにも短かったけれど、その一日一日が、驚くほど豊かで、まるで季節ごとの七十二候のように異なる光を持って...