現代造佛所私記 No.14「小さな仏師」
私たちには8歳になる娘がいる。 赤子の頃から父親の彫刻室で過ごし、ヒノキの香りに親しみ、多くの仏像に囲まれ育ってきた。出張先にもよく連れていったので、お寺にも多く訪れている。 「ぶつぞうさん!」 彼女は、仏像全体のことを...

私たちには8歳になる娘がいる。 赤子の頃から父親の彫刻室で過ごし、ヒノキの香りに親しみ、多くの仏像に囲まれ育ってきた。出張先にもよく連れていったので、お寺にも多く訪れている。 「ぶつぞうさん!」 彼女は、仏像全体のことを...
「まずい、昨日体を冷やしてしまったかな?」全身の肌がざわめいて、股関節が軋み始めた。 午後にかけて頭が鈍く痛みだし、「あぁこれは熱が出てくるなぁ…」と諦めの気持ちでキーボードを叩く。 最近のジェットコースターのような寒暖...
1000日のミニコラム執筆も12日目。 12と聞いて、皆様は何を思い浮かべるだろうか。 私はなんと言っても「十二神将」だ。 十二神将は、薬師如来および薬師経を信仰する者を守護する天部の仏尊である。 それぞれ、甲冑を着けた...
14時46分。「カタカタカタ…」 (あぁ、いつもの地震かな) そう思ったのも束の間、揺れがぐんと大きくなり、デスク脇の荷物の山がズサーッと崩れた。 どこからか聞こえる悲鳴。何かが割れる音。八方からの犬の鳴き声。 (これは...
落石か落葉か見極めろ!鳥獣だブレーキを踏め! 何のクエストか?と思うような我が家への一本道を、友人が登ってきてくれた。 1、2ヶ月に1度、龍笛の稽古会のためにわざわざ来てくれるのだ。都会育ちの彼女が険路を訪ねてくれるのだ...
(アイキャッチ撮影:田村紀子) 私たちの工房の活動を見て、混乱する人もいるんじゃないかと思う。 実際に「一体何をやっているのかよくわからない」と言われたこともある。 というのも、ブログやSNSには、仏像以外に、雅楽、弓道...
2023年8月のある日、三人の知人からそれぞれに「閑人調で書いてみませんか」というお誘いがあった。 「閑人調」とは、高知新聞の学芸面にある名物コラム欄だ。 1959年4月1日付の朝刊から60年以上続いていて、執筆者は私の...
仏像製作中に出る木っ端は、塗香に混ぜて懐紙にくるみ、和紙やハギレでお守り風に仕上げる。 お客様に差し上げることもあれば、手紙に添えたり、友人にプレゼントすることもある。 個展に来てくださった人が、再会した時に「お財布に入...
このクスノキに出会ってから、木々の香りを身近に感じるようになった。私にとって、常に寄り添い語りかけてくれる存在だ。 高知の山中で育った榧(カヤ)、台風で倒れたヒノキ、インドからやってきた白檀…それぞれの木に物語があり、特...
彫刻作業は、叩き鑿(のみ)から彫刻刀へと進んでいく。 クスノキの香りは、仏師の工程に合わせるように柔らかくなったり、弾けたり、まるで歌うように踊るようにそこにある。 自在に変化する香りに触れるうち、「そうか、香りは木の歌...