現代造佛所私記 No.153「幼虫奏者」
昨夕、考えを整理するために、散歩に出かけた。……といっても、家の前の小川沿いの道を、ただテクテクと往復するだけだ。けれど、ずっとパソコンの前に座っているよりはましだと思い、表に出た。 夏の夕方というのは、午後と夜のあいだ...

昨夕、考えを整理するために、散歩に出かけた。……といっても、家の前の小川沿いの道を、ただテクテクと往復するだけだ。けれど、ずっとパソコンの前に座っているよりはましだと思い、表に出た。 夏の夕方というのは、午後と夜のあいだ...
木槿(むくげ)の花が、小川のせせらぎに音もなく落ちる。 水の上をふわりふわりと漂う白い花弁に、夏の光が反射して清潔さを増している。 目を上げれば、渋柿の枝に、まだ青く硬い実がぽってりと膨らんでいる。ここ数年、ほとんど実を...
──あなたは今日、どのくらい椅子に座っていただろうか。 このところ、気づけば数時間、同じ姿勢のまま動いていなかった。そんな日が続いている。身体が最近、教えてくれるようになった。「そろそろまずいぞ」「こわばっているよ」と。...
コラム執筆は深夜になるので、やや感傷的になりがちだが、今日は150日目ということで小さくてまだ何の形もない、夢を語ってみたい。 高知の山の中に暮らして、五年が過ぎた。どこへ行くにも、まずは山の一本道を三十分ほどかけて下る...
海岸線の国道を、西に向かって車を走らせる。 予定より2時間遅れの出発で、少し心が泡だったままハンドルを握る私の視界を、ふと広げてくれたものがあった。 日の入りと共に、すうっと姿を現した細い月。 「綺麗だねぇ!」娘が後部座...
夏の夕暮れは、独特の不思議な空気を帯びる。いつもは閉じている過去との境目がポッカリ通じたように、黒く緩い夜風の向こうに手を伸ばせば、子どもの頃の自分に触れられそうな気がする。 今宵の六畳間は、扇風機の微かな音とエアコンの...
我が家の玄関先に並ぶ大小様々なバケツ。それはいつしか私にとって「水中の静かな宇宙」となった。 今回は、現代造佛所私記No.134で登場したメダカたちの後日談だ。 その後、彼らは元気に泳いでいる。ささやかながらも確かな命の...
実務でAIを活用するための、経営者向け研究会に参加した。 当工房ではここ1年ほど、AIなしでは事務方は回らなくなっている。 日本の企業における生成AIの導入率は、2025年時点で2割から3割に達し、この1年でも急速に普及...
400年の伝統を受け継ぐ工芸の職人さんが、はるばるこの高知の山あいにある、私たちの工房を訪ねてくださった。 都にほど近い地で、長年、歴史の重みを背負いながら伝統技法を守り抜いてこられた方だ。 私たちの工房が歩んできた道と...