カテゴリー: その他
現代造佛所私記 No.228「月詣りの朝」
今朝は月詣りの日だった。吉田仏師と連れ立って、参道を歩く。 石段を三分の一ほど上がると鳥居がある。一礼してふと目の端に蠢くものを捉えた。鳥居の向こう、石段の左際に、黒と黄の影が群れて揺れている。スズメバチだ。地面を這うよ...
現代造佛所私記 No.226「花月と秋明菊」
本日、お茶の稽古で「花月」をした。 七事式という、集団で行う茶の湯の稽古法のうちの一つである。遊戯性があって好きなのだが、稽古する機会が少なく、ルールがまだ掴めていないというのが正直なところだ。 「折据」という、五枚の札...
現代造佛所私記 No.225「体を養う日」
先日、温浴施設で倒れた人の対応をした。そのお礼にと、入浴券をいただいた。家族で早速、再訪する。 低温の塩サウナと高温遠赤外線サウナ。二つの熱を楽しんだ。翌朝、目覚めた時は心地よかった。体がポカポカと温かい。ところが午後に...
現代造佛所私記 No.224「見守るということ」
終齢になった芋虫たちが、ある朝、妙に騒がしそうだった。枝から枝へ、地面へ。まるで何かを探しているみたいに、せわしなく這いまわっている。 気づくと、メダカの住まう睡蓮鉢の縁に、ハーブのプランターの脇に、あるいはアスファルト...
現代造佛所私記 No.223「観音様のような人」
快晴。金木犀の香りが色濃く、日差しに力を感じる朝だった。今日は生涯大学での三度目の講演。午前中、資料と原稿に最後の目を通し、車で小一時間ほどの会場へ向かう。正午近く、秋の陽は容赦なく降りそそいでいた。 文化施設の最上階に...
現代造佛所私記 No.221「紫の光」
満月の翌朝。空はまだ薄暗く、少し雲がかかっていた。玄関を出ると、ひんやりとした新しい空気が肌に触れる。 娘をバス停へ送る道すがら、手を繋ぎ川沿いの小道をテクテク歩く。川向こうに熟れた柿の実が重たげに枝にぶら下がり、石垣に...
現代造佛所私記 No.220「湯けむりの中の善意」
休日の午後、家族で日帰り温泉に出かけた。湯けむりの向こうに秋の陽が差す。日中はまだ夏日が続いているというのに、湯の温もりが体の奥まで沁みた。 お湯から上がり、棚のタオルを取りに行くと、何やら人だかりができていた。サウナを...











