現代造佛所私記 No.152「焔をまとう」
木槿(むくげ)の花が、小川のせせらぎに音もなく落ちる。 水の上をふわりふわりと漂う白い花弁に、夏の光が反射して清潔さを増している。 目を上げれば、渋柿の枝に、まだ青く硬い実がぽってりと膨らんでいる。ここ数年、ほとんど実を...

木槿(むくげ)の花が、小川のせせらぎに音もなく落ちる。 水の上をふわりふわりと漂う白い花弁に、夏の光が反射して清潔さを増している。 目を上げれば、渋柿の枝に、まだ青く硬い実がぽってりと膨らんでいる。ここ数年、ほとんど実を...
──あなたは今日、どのくらい椅子に座っていただろうか。 このところ、気づけば数時間、同じ姿勢のまま動いていなかった。そんな日が続いている。身体が最近、教えてくれるようになった。「そろそろまずいぞ」「こわばっているよ」と。...
コラム執筆は深夜になるので、やや感傷的になりがちだが、今日は150日目ということで小さくてまだ何の形もない、夢を語ってみたい。 高知の山の中に暮らして、五年が過ぎた。どこへ行くにも、まずは山の一本道を三十分ほどかけて下る...
海岸線の国道を、西に向かって車を走らせる。 予定より2時間遅れの出発で、少し心が泡だったままハンドルを握る私の視界を、ふと広げてくれたものがあった。 日の入りと共に、すうっと姿を現した細い月。 「綺麗だねぇ!」娘が後部座...
我が家の玄関先に並ぶ大小様々なバケツ。それはいつしか私にとって「水中の静かな宇宙」となった。 今回は、現代造佛所私記No.134で登場したメダカたちの後日談だ。 その後、彼らは元気に泳いでいる。ささやかながらも確かな命の...
実務でAIを活用するための、経営者向け研究会に参加した。 当工房ではここ1年ほど、AIなしでは事務方は回らなくなっている。 日本の企業における生成AIの導入率は、2025年時点で2割から3割に達し、この1年でも急速に普及...
八年ほど前から、わが家の睡蓮鉢には、世代交代をくり返しながら、メダカたちが棲んでいた。 数が増えすぎて、友人に里親になってもらったこともあったが、やがて寿命が訪れ、次第に数は減り、ついにはメダカ不在のまま、今年の夏を迎え...
午後、Facebookに一つの投稿をアップした。「ことばの種、お預かりします」という、1000日コラムの夏の特別企画である。 これは、誰かがふと思いついた「ひとこと(単語)」をお預かりし、それをもとに私が5つのエッセイを...
ぼんやりと、両目に焦茶色の楕円形が映っている。 それは、黄土色の平面の真ん中に、ちょこんと居座っていた。 私は胡座をかいて、手のひらを重ねて座っている。折り畳んだ足と手を背骨にぶら下げ、城満寺(徳島県)の住職である田村さ...