現代造佛所私記No.131「ことばの種」

午後、Facebookに一つの投稿をアップした。
「ことばの種、お預かりします」という、1000日コラムの夏の特別企画である。

これは、誰かがふと思いついた「ひとこと(単語)」をお預かりし、それをもとに私が5つのエッセイを執筆するという試みである。

その単語は、名詞でも動詞でも、形容詞でもよく、品詞も意味も背景も問わず、私はただそのことばを受け取る。

そして、その「ことばの種」を、目の前に広がる白い画面に植えて、芽吹いたエッセイを皆で読もう!という企画である。

これまでも、何か書きたいエピソードが見つからないときには、たった一語から書き始めてきた。
その一語は、まるで種のように、多くの情報を内包しており、思いもよらない展開を導くことがある。

むしろ、一語のもつ強さに、私は何度も打たれてきた。

ちなみに、昨日書いた130日目の「野薔薇の家」は、「屋根の上」ということばの種から芽吹いた物語である。他にも、「ことばの種」から展開した回はいくつか存在している。

この1000日コラムは、書いている私自身が、「ああ、こんな景色が広がっていくのか」と、驚きながら手を動かしている。

ことばの種が熟し、殻を割って、するり、はらりと芽吹いていく様子には、なんとも言えない喜ばしい驚きがある。

昨日──130日目を書いたあと、ふと「自分ではない誰かが発したことばを、1000日コラムという土壌に植えたらどうなるのだろう?」という思いが浮かんだ。

そうしてすぐに、テーマ募集のチラシを作りはじめた。
文章だけでお知らせすれば十分だったかもしれないのに、なぜか私はチラシというかたちにした。
おそらく、この1000日の道のりのなかで、どこかで意味を持つ出来事なのだろうと感じている。

この知らせを知った誰かの心の中で、まだ名前のついていない何かが、ことばのかたちを取りつつある。そんな様子を想像して、遠足の前日の子どものようにソワソワとしている。

いろんな「ことばの種」が私のもとへ届くのを、楽しみに待っている。

さて、さっそくご質問もいただいたので、いくつかお答えしておきたい。

Q:どんな単語を送ったらいいの?
A:ほんとうに、どんな単語でも構いません。
「石ころ」「布巾」「はさみ」「躊躇」など、抽象的でも具体的でも。名詞に限らず、形容詞や動詞も大歓迎です。

ただし、公的な論争につながるような語(例:特定の政党名や政治的スローガン、宗教的な教義や団体名など)、個人や集団を傷つけるような言葉は、選考の対象外とさせていただきます。
コラムが、誰かにとっての安らぎや余白となるよう、ひとときの“ことば遊び”を楽しんでいただけたら幸いです。

Q:採用される5つはどうやって決めるの?
A:抽選で選ばせていただきます。偶然に宿るものもまた、おたのしみに。

Q:コメントしたけど、反映されている?
A:投稿コメントでもDMでも、お送りくださったものには必ず目を通しています。返信が少し遅れても、どうかご安心ください。

Q:採用されたら名前が出るの?
A:とくにご希望がなければ、「○○ということばをお預かりして」と、匿名で紹介します。お名前を出してほしいという方は、ぜひお知らせください。

Q:あなたと普段あまり交流がないが、参加しても大丈夫?
A:もちろんです!ぜひ、ご参加ください。また、「こんなことばを送っていいのかな…」と思うような、意外なひとことこそ、不思議な芽吹きをもたらすことがあります。偶然を楽しみましょう♪

「あなたのことばが、誰かのなかで芽吹く」──
そんな時間を、この夏、ご一緒できたらうれしく思う。

ふっと心に浮かんだ一言。
それが、あなたと私にとっての「ことばの種」である。

オンラインでつながるこの空間を、ふかふかの土に見立てて。
どうか、その「ことばの種」を植えてみてほしい。

どんな花が咲くのか、あなたも私も、誰も知らない。
だからこそ、書くことが楽しみであり、一緒に読んでみたくなる。

コメント・DMともに、7月13日(土)まで受付中。
あなたの「ことばの種」を、心よりお待ちしています。