現代造佛所私記 No.241「鹿の声きくときぞ」
今日も、朝から深夜まで宣伝美術にまつわる修正作業をしていた。 チラシの文字の間隔を一文字ずつ整え、余白をわずかに削る。たったそれだけのことなのに、全体の呼吸が変わる。だから、呼吸がうまく通らないときは、どこかに原因がある...

今日も、朝から深夜まで宣伝美術にまつわる修正作業をしていた。 チラシの文字の間隔を一文字ずつ整え、余白をわずかに削る。たったそれだけのことなのに、全体の呼吸が変わる。だから、呼吸がうまく通らないときは、どこかに原因がある...
仕事の打ち合わせに向かう途中だった。 家の近くのキャンプ場のカフェへ歩いていくと、見慣れない県外ナンバーの車がこちらに向かってくる。観光客かと思いきや、カフェを通り過ぎ、さらに先へ進もうとしている。この道の先にあるのは、...
夏休みの終わり、小学生の娘の壮大な宿題を、家族総出でサポートすることになった。 今夏のハイライトは、自由研究と図画だ。 机いっぱいに画用紙や絵の具、模造紙が広がり、夜更けの作業が始まった。 両方とも、夏休み前からテーマを...
この数ヶ月の疲れがじわじわと溜まっているのだろうか。今日は夫婦して、からだが動かなかった。 何をするにも、ひと呼吸置いてからでないと、次へ移れない。頭はさえているのに、からだは重く、ぴたりと止まってしまったような日だった...
2025年4月28日(月)〜5月4日(日) この一週間は、コラムの執筆だけでなく、あらゆる仕事の打鍵音が鳴りっぱなしだった。 10歳にも満たない娘が「働きすぎだよ、休んで」と、夜中に懇願しにくるほどに。 忙しさは時に、感...
大学時代、私はひょんなことから劇団の宣伝美術を任されることになった。小さな学生劇団で、他の劇団員より多少絵心がある、というだけの理由だった。全く経験はなかった。 そんな状態で、入団1ヶ月後に作った最初のチラシ。タイトルや...
花見客で賑わう高知城を背に、吉田仏師が口を開いた。 「”四国の仏像は修復も一通り終わって、新作の仕事ももうない”って言われたんですよ」。 高知に来て丸8年。移住当時に誰かから言われた言葉を、彼は今も覚えていた。 博物館の...
14時46分。「カタカタカタ…」 (あぁ、いつもの地震かな) そう思ったのも束の間、揺れがぐんと大きくなり、デスク脇の荷物の山がズサーッと崩れた。 どこからか聞こえる悲鳴。何かが割れる音。八方からの犬の鳴き声。 (これは...