スイスのミケランジェロ財団が提供する、世界の職人名鑑「Homo Faber」がきっかけで、海外からインターンシップの打診があった。
なぜ高知の山奥の小さな工房に……? 当初、吉田仏師は「うちに来るより他の工房の方が良いだろう」と判断していた。
状況によっては、知り合いの仏師や木彫家を紹介しようと考え、メールやチャットでやり取りを重ねた。
それで分かったことは、木彫が盛んなとある国に住むMさんは、10代から塑像を学んで木彫に転向し、木彫家として独立するために各地でインターンとして学んでいること。
日本の文化、特にお茶に興味があること。
日本には来たことがないこと。
古い仏像の修理にも興味があること。
そして、丁寧に作品のポートフォリオも送ってくださった。
工房では、美術専門学校の生徒を一時受け入れしたことがある。だがそれは、卒業制作をフォローするためであって、インターンという形ではなかった。
Mさんのインタビュー内容から、新たにインターンシップのプログラムたたき台を作成した。市へワーキングホリデーの支援について、問い合わせしてみたりもした。
オンラインでの面談を前に、日本語教師の友人に、プログラムの英訳とミーティングの構成作りを助けてもらった。
友人は、日本語教師の経験を惜しみなく分かち合ってくれ、Mさんや私たちの先を見据えた稀有なアドバイスをくれた。本当にありがたく思う。
そうして迎えたオンラインでの初顔合わせ。
Mさんはまず、私たちにオープンでいてくれたことへの感謝を述べてくれた。そして、提案したプログラムに高い関心を示してくれた。
一つ私がこだわったことは、仏像のことをBuddist statueとは言わず、「仏像 (Butsuzō) 」と表現したことだ。
日本で発展した造仏や仏教文化に触れ、有意義な数週間をともに過ごせたらと思う。