現代造佛所私記 No.254「チャパン、チャプ」
チャパン、チャプ、チャパン、チャプ ゆっくり湯船に浸かり、首元に湯をかけていた。その湯面が立てる音のリズムが、少し意識の深いところに響き始めた。 不意に、幼い日の記憶が立ち上った。 六つくらいの頃、私はよく、今は亡き祖母...

チャパン、チャプ、チャパン、チャプ ゆっくり湯船に浸かり、首元に湯をかけていた。その湯面が立てる音のリズムが、少し意識の深いところに響き始めた。 不意に、幼い日の記憶が立ち上った。 六つくらいの頃、私はよく、今は亡き祖母...
今日は少し、内省的すぎるかもしれない。けれども、書いてみることにした。 普段なら、なんでもなくやり過ごせる。けれども、ときどき、同じことがヒリヒリと敏感に触れてくることがある。 ここ数日は、まさにそんな時期だった。ちょっ...
「5、4、3、2、1——」 子どもたちの声が体育館に弾けた。幾重にも重なる声が力強い。「ゼロ!」の瞬間、音楽が流れ出した。 二人一組になった小さなモデルたちが、順番にランウェイを歩き始める。私はカメラを構えながら、息を呑...
音楽と舞で独自の空間を立ち上げるパフォーマンスグループ「あはひ-Awai」。彼女たちの令和8年の新春公演のチラシを、担当させていただいた。 タイトルは「かがみ開き」。 その言葉を聞いたとき、私の胸に最初に浮かんだのは、古...
「今、何してるの?」 「あ、今コラム書いてる」 「コラム後で読ませて。おやすみ!」 温かいお茶を入れ直し、PCに向かう。 夫や娘にとっても、それが日常の風景になった、この挑戦。 1000日コラム執筆チャレンジを始めて、今...
ときおり届く、ドイツからの便り。 急に秋が深まったある朝、着信を告げる小さな赤い印が、デバイスの隅に灯っていた。 「あなたが作ってくれた料理を思い出して真似してみたのだけれど、やっぱりあなたが作ったもののほうがずっとおい...
「文化を伝える」という営みは、思っていたよりもずっと深く、広い。そして、簡単なものではなかった。 承欣(しょうごん)としてPR支援を始めてから、さまざまな方々とご一緒してきた。SNS発信やメディア掲載の積み重ねを経て、大...
「このままでは終われない」 コロナ禍で工房の仕事が途絶えたとき、胸の奥からそんな声が聞こえた。仁王さまの修理で感じた”伝えることの力”を、もう一度信じてみようと思ったのだ。 初めて取材してもらった...
仁王像の修理が始まるころ、私はふと思った。――この営みを、ただ修理で終わらせてはいけないのではないか。 ここで暮らす人々の祈りや、故郷を思う気持ちを、きちんと伝えたい。そんな思いが、胸の奥でふつふつと湧きあがってきたのだ...
「またマスコミが来てくれるろう? がんばらんとな!」 高知県香南市の山あいの寺に、ひょうきんな声が響いた。檀家会でのことである。その明るい笑いに、場の空気がふっと緩んだ。私も思わず笑顔になった。仏像工房の経営者として、こ...