現代造佛所私記 No.248「世にも珍しい仏像工房発のPRサービス(4)文化を紡ぐPRへ」

「文化を伝える」という営みは、思っていたよりもずっと深く、広い。そして、簡単なものではなかった。

承欣(しょうごん)としてPR支援を始めてから、さまざまな方々とご一緒してきた。SNS発信やメディア掲載の積み重ねを経て、大舞台への出演が決まった方もいた。その業界ではあり得ない大抜擢だったと伺った。PRが、誰かの人生の扉を開く――そんな瞬間を間近で見せてもらえるのが、この仕事の醍醐味だと思う。

PR支援の一環でイベントチラシを制作させていただいた方からは、「夢を叶えてくださるようなチラシでした」と言っていただいた。「夢を叶えてくれる」。その言葉は、私の心に今も灯のように残っている。提供するPRサービスが、お客様にとって常にそうであってほしいと心から思う。

「自分は脇役でいいと思っていた。だけど、可能性を信じてみたい、花を咲かせてみようと思えるようになった」そんなお言葉もいただいた。PRプロデューサーとして、誰よりもクライアントの未来を具体的に描き、その実現を信じ行動する者でありたい。

最近は、得意なメディアPRだけでなく、プレスリリースの添削やチラシ作成、HP制作(WordPress)、イベントMCなど、ご予算に応じて部分的なご依頼も増えてきた。

部分的ではあっても、プレスリリースはもちろんのこと、チラシやHP、MCのすべてにおいて”PR視点”を基礎に置き、文化的背景や信仰への倫理的配慮に重点を置いていることが、承欣のいちばんの特徴だ。

ただ、残念ながら、承欣のPRはバズを狙う人には向いていない。また、「おまかせ」だけでは思うような結果は出ない。

けれど、PRプロデューサーと二人三脚で、自ら「次の百年へ」つなぎたいと願う人には、きっと力になれると思う。

三年前、ローカルメディアを中心としたPRを地道に重ねて、全国放送でも取り上げていただいた。2024年春はスイスのHomo Faber掲載もサポートした。その結果、職人の国の事業への派遣が決定したり、海外インターンシップの受け入れ、生涯大学での授業担当など、思わぬ広がりが生まれた。

文化財保存修復学会でのPR事例の発表など、新たな挑戦にも取り組んできた。

それらを経て、「伝えることが、文化を生かす力になる」という確信が深まっている。

何度も繰り返すが、PRとは、誰かを目立たせることではない。人と地域、過去と未来を結び直す営みそのものだ。それは仏像製作と同じように、見えないものにかたちを与え、祈りを次代へと渡す営みなのだ。

一方で、うちの工房では誤算もあった。発信を続けるうちに、新規の仏像製作のご依頼が倍増し、夫だけでは回らなくなってしまったのだ。人を雇う余裕もなく、受注を整理せざるを得なかった。それは、PRの力を信じている私にとって、次のステップへの「問い」でもあった。

バックオフィス業務などを切り分け、一部業務委託の形をとるようになったり、それまでの見積りの基準も見直した。

現場では、さまざまなやりとりがある。伝統に関わる慣習の中には、現代の常識やビジネスの文脈とはスケールが異なることがある。だけど、伝統とビジネスの両方に軸足を置きながら、その境界に橋をかけたい。持続可能なリズムや循環を取り戻したい――それが次の大切な課題だと思っている。

限界集落の工房から始まった一枚の報道資料が、やがて海を越え、人を呼び、学びと出会いを生む循環となった。

大切なことを手渡すために、諦めないでいたい。豊かでかけがえのない文化の灯が消えないように。

もし、あなたの文化や信仰を次の世代へつなぐお手伝いができるなら、どうぞお声がけください。

承欣SHOW-GONでは、寺社・文化事業・地域団体を対象に、発信設計・メディアPR支援・チラシ制作などのサービスを提供しています。よしだ造佛所の一部門ですが、単独で特設サイトをご用意しております。よろしければご覧ください。

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