現代造佛所私記No.109「真善美」
前日までの雨風が嘘のように、晴れの国・岡山の日差しは眩しかった。 富山での学会発表を終え、京都の福成寺での坐禅を経ての四国への帰路。 四国へ入る前に、どうしても寄りたい場所があった。3年前に吉田が注文していた竹弓が完成し...

前日までの雨風が嘘のように、晴れの国・岡山の日差しは眩しかった。 富山での学会発表を終え、京都の福成寺での坐禅を経ての四国への帰路。 四国へ入る前に、どうしても寄りたい場所があった。3年前に吉田が注文していた竹弓が完成し...
先週は、コラム執筆100日目を迎えた記念すべき日からスタートした。 コラムを書き始めた頃、「520字で、さくっと読めるものを」と決めていたのに、1000字を超えることが当たり前になっている。書き始めると、どんどん膨らんで...
雨の夜だった。学会を終えて富山から車を走らせ、京都に着いた頃には22時を過ぎていた。車のライトに照らされ、闇に小雨が白く舞っていた。 静かな住宅街を北へ進むと、こんもりとした深緑の一角が姿を現した。 この日、私たちは吸江...
文化財保存修復学会、富山大会。第47回目を迎える本大会で、私はポスター発表に臨んだ。 テーマは、「高知県まきでら長谷寺蔵 木造仁王像の保存修理と情報発信──修理現場での企画開発とPR活動の意義と課題」。 文化財における広...
2025年6月14日、15日開催の文化財保存修復学会、富山大会。吉田家一同、3階の客席に座って発表を聞いていた。ぱっぱっと切り替わるスライドの光を追いながら、ある舞台のことが想起された。 東京都八王子市で開催される、舞台...
背中越しに、クツクツと音がする。 梅シロップを漉したあとの果肉を、吉田がじっくり煮ている。手作りの木べらを片手に、語らぬ背中はすっかり「森の民」らしくなった。 恵の果実を水にくぐらせて、火と鍋で作るおいしい保存食。部屋い...
神社仏閣や伝統文化に息づく、文化や文化財を軸とした人々の生(なま)の声や姿、「今」起こっている出来事や思いを、さまざまな媒体を通じて多くの人と分かち合いたい。そしてそれを記録として未来に渡したい。 この思いが、当工房で展...
「文化財を守る」。 ただ歴史をなぞる、知識を得るためだけなら、オリジナルを守る必要もなく、レプリカや映像、文字情報で事足りるのかもしれない。そうして、淘汰されたものは数知れない。 だけど、オリジナルを目の前にした時、ある...
「なぜ文化財は守らないといけないんですか?」 3年ほど前、吉田は工房前で囲み取材に応じていた。製作は鎌倉時代に遡ると見られる仁王像の修理について、ある大手新聞社の記者からそう訊ねられた。 ふと思い出し、今日夫婦で話題にな...
1000日毎日執筆すると誓って 100日目を迎えた。スタートした頃は「100日目はさぞ感慨深いだろう」と漠然と思っていたが、いざその日が来てみるとはまったく違った。 その当日である今日は、学会ポスターのデータ入稿締切日だ...