カテゴリー: よしだ家歳時記
現代造佛所私記 No.228「月詣りの朝」
今朝は月詣りの日だった。吉田仏師と連れ立って、参道を歩く。 石段を三分の一ほど上がると鳥居がある。一礼してふと目の端に蠢くものを捉えた。鳥居の向こう、石段の左際に、黒と黄の影が群れて揺れている。スズメバチだ。地面を這うよ...
現代造佛所私記 No.208「栗のお裾分け」
玄関のチャイムが鳴った。 秋風の立ち始めたある朝のこと。扉を開けば、大家さんがそこに立っていらした。手には白いレジ袋。持ち手が中身の重みで、ぴんと張り詰めている。 「これ、栗です。どうぞ」 袋を覗けば、鬼皮に包まれた艶や...
現代造佛所私記No.130「野薔薇の家」
短い梅雨を経て、屋根の上を見上げると、野薔薇の新芽が、空に向かってぐいと手を伸ばしている。その若々しい淡い緑の、なんと屈託のないことか。 この野薔薇は、もともと実家の裏庭に咲いていたものだ。母から20cmほどの小さな一枝...











