現代造佛所私記 No.376「PR講座前夜」

「ケーブルと、本と、ファイルと名簿…ティッシュも一応一箱」

「後片付けしとくから。あ、明日の味噌汁作っとかないと」

プラスティックのコンテナに荷物をまとめる私の背後で、夫が台所の始末をつけ、朝食用の味噌汁を作ってくれている。

明日、高知初開催のPR講座を控えた夜だ。
当初想定していた定員を超えて、参加の申し込みをいただいた。

PRに初めて触れる方から、すでに資格を持つ方まで、顔見知りも、初めての人のことも思いながら、荷物をチェックしている。

伝えたいことは一ヶ月ほどかけて熟成させた。それをこの二日で一気にスライドに落とし込んだのだが、週末から娘が高熱で寝込み、私も風邪を多少もらった。夫が当然のように家のことを引き受けてくれたおかげで、休養しながらスライドを作ることができた。共同開催のまるちゃんにも、心配をかけた。

仕上がったスライドを、PRの実務を知らない夫に試しにプレゼンしてみたら、なかなかに通りが良かった。これなら初めての人にも届くだろうか、と少し肩の力が抜けた。

四年前、PRというものを知った時、私はまだ、「発信すること」と「届けること」がまったく別の話だと知らなかった。

いい仏像を彫れば、いつか誰かが気づいてくれる。そう信じていたし、周りもそう励ました。 届けることが、これほど技術であるとは。身にしみてきた年月だ。

「さ、ご挨拶しようか」

一日の終わりに、夫が神棚へ誘う。 多くの先達に教えてもらい、実務を積んできたこと。私にできるありったけのものを、明日、お伝えしたい。

神棚にも、思いを供えた。

アイキャッチは、まるちゃんと打ち合わせ中の様子。香川と高知でオンラインで講座の準備をしてきた。