今日で四度目となる、生涯大学での講義。
それぞれ別のクラスゆえ、この話を聞くのは初めての方ばかりである。一クラスおよそ百名。単純に数えれば、これまでに四百人ほどの方々に、私たちの工房の造仏や修理についてお話ししたことになる。
もちろん、当日欠席された方もいらっしゃるから、きっちり四百名というわけではない。けれどもこうして生涯大学の皆さまにお声をかけていただき、毎回新しい出会いがあることが、心から嬉しい。
壇上には藤袴をはじめ、尾花、秋の花々が静かに飾られていた。前に立つと意外にも一人一人の表情が手に取るようにわかる。話を進めるうち、皆さまの表情がだんだんと引き込まれていくのが見える。
吉田仏師と私の紹介が終わったとき、「え、この二人に一体何の接点が?」というはてなマークが教室中に浮かんでいたので、急遽出会いのエピソードを追加した。四回目ともなると、アドリブも効くようになる。少し感慨深い。今年はあと2クラス残っているので、ここではそのエピソードには触れずにおく。
聞きなれない用語、初めて見る仏像工房の様子に、ノートへ熱心に鉛筆を走らせる音が、会場のあちこちから聞こえた。その音に、話すこちらもずいぶんと励まされた。
「わあ」「おお」と、小さな声があがる。一本の木から仏像が生まれていく過程に、驚きや感嘆が混じる。「仏像と人の物語」に登場するエピソードでは、共に笑い、涙ぐみ、心を寄せ合うようなひとときとなった。
講義を終えると、ありがたくもご質問やお声かけの列が少しばかりできた。仏像に関心を寄せてくださる方、工房で修理した御像について尋ねてくださる方。ひとつひとつの言葉に、表情に、熱とやさしさがあった。
驚いたのは、昨年の仁王像安置の際に手伝ってくださった方のお母様が、この生涯大学に在籍されていたこと。当時の映像も紹介しながら解説していたので、「息子が映っていました」と教えてくださった。そして、「私も看護師をしていたんです」と、厳しい現場を知る同士としての声を滲ませてくださった。
ああ、今度は皆さまのお話を伺いたい――そんなふうに思うほど、後ろ髪を引かれるような、離れがたい時間だった。
仏像と人の物語。日々つづいていくこの長い物語の中に、今日の出会いもまた、描かれていく。
皆さま、本当にありがとうございました。


