現代造佛所私記 No.353「最後の味噌」
内田明夫さんとみち子さんご夫妻には、吉田仏師と婚約中の頃からお世話になった。独立後初めての個展には、推薦文を寄せてくださった。その言葉は、今も変わらず私たちを支えている。 結婚前、吉田が着物を贈ってくれた。みち子さんが定...

内田明夫さんとみち子さんご夫妻には、吉田仏師と婚約中の頃からお世話になった。独立後初めての個展には、推薦文を寄せてくださった。その言葉は、今も変わらず私たちを支えている。 結婚前、吉田が着物を贈ってくれた。みち子さんが定...
最近、工房の猫「皓月」を、お母さんと呼んでいる。 もちろん冗談である。 朝食の席で、私の箸の上げ下げをじっと見張り、隙を見ては両手で押さえ込み、がぶりと主張するあたり、なかなかの貫禄だ。 いっぽう夫の膝には、するりと乗っ...
「へぇ、いたどりかぁ」 家の近くにある、カフェ併設のキャンプ場。そこには、地元の人が作った日用品や雑貨、手仕事のお茶などが、静かにつつましく並んでいる。 野草茶の種類もいくつかあり、友人知人が訪れると、まとめて買い求めて...
山のふもとに、車で通り過ぎるだけの一角がある。 車を止めるほどの余白はなく、今は使われなくなったゴミステーションと、社への階段があるだけの、ゆるやかなカーブの場所だ。 ここは、梅の季節だけは、少し特別になる。 私は決まっ...
「あぁ、なんていいお顔されてるんでしょう」 涙を拭いながら、何度もそうおっしゃるお客さま。その横で、私も目が潤んでしまう。 手作りのお仏壇に、使い込まれたお経。ご主人様のご位牌、やさしい笑顔の遺影。今思い返しても、涙が滲...