現代造佛所私記 No.290「3年手帳(後編)」
家に帰ると、すぐに三年手帳を開いた。新年一月から、2027年までの主な予定を書き入れていく。 来春から動き出すプロジェクト。数年がかりになりそうな仕事。そして、家族の節目や、毎年の行事。 ページを埋めていくうちに、先への...

家に帰ると、すぐに三年手帳を開いた。新年一月から、2027年までの主な予定を書き入れていく。 来春から動き出すプロジェクト。数年がかりになりそうな仕事。そして、家族の節目や、毎年の行事。 ページを埋めていくうちに、先への...
毎年買っている手帳のレフィルを求めて、文房具店に足を運んだ。 来年の予定が一気に入ってきたのに、長期出張やインフルエンザですっかり後回しになっていた。うっかり忘れてしまわないよう、使い慣れた手帳レフィルを早く用意しなけれ...
特別養護老人ホームへ向かう車中、窓の向こうに清流が見えた。水は季節の光をそのまま映して、静かに流れていた。 施設にいる祖母を最後に訪ねたのは、今からもう14年前のことになる。 その日、面会者は私ひとりだった。四人部屋を、...
今朝は少し感慨深かった。しぶといはやり風邪を克服した娘の、十日ぶりの登校を見送ったのだ。 過ぎてみると、悪夢から覚めたような気さえする。あの高熱の日々、全身をこわばらせる発作的な咳嗽。ウイルスの粘り腰と、人の治癒力の凄ま...
「Y ちゃんがウロウロし始めたなぁ」 仕事の合間にお茶を飲みに来た夫が、つぶやいた。8日間布団の中で暮らしていた娘が、今朝からパジャマのまま絵を描いたり、土間にやってきたり、ゲームをするようになった。 「えっ、まだ39℃...
娘発症の二日後の朝、私も突然の高熱に見舞われた。 「夕方くらいにお越しください」 娘もお世話になった診療所に、夫が受診相談をする横で、私はどんどん火照り出す身体になすすべを失っていた。 全身が痛い。頭がぼーっとしてあまり...