現代造佛所私記 No.316「かがみ開き」

今日は、昨年秋からフライヤーデザイン等で関わらせていただいた、音楽と舞のパフォーマンスグループ あはひ の公演本番の日である。

時計に目をやりながら、今頃お客さまが入られただろうか、始まったな、終演後はどんな空気だろうかと、遠く高知より思いを馳せていた。

公演のタイトルは「かがみ開き」。新年の鏡開きを、日本神話の天岩戸開きになぞらえた、オリジナルの舞台である。

あはひ(Awai)は、昨年春に誕生したばかりの女性三人のグループ。皆様、天女様のようでもあり、どこか戦神ドゥルガーの気配も感じさせる、魅力的な方々だ。各自の確かな実力に裏打ちされた即興性が、その場にしか生まれない空間を立ち上げている。

本公演「かがみ開き」では、あはひの歌とピアノ、横笛や正倉院復元楽器、観音舞に加え、客演の高田淳子さんのアフリカンパーカッションが、地母神のような気配を添える。

PR支援は完全リモートであったが、やり取りは実にスムーズで、首都圏と四国の山奥という距離を、ほとんど意識することはなかった。

メンバーの皆さんと「はじめまして」の頃、PRの世界は未知の領域でいらした。「PRが必要だとは思うんだけど、どうやったらいいんだろうと思っていた」と、歌とピアノの新屋賀子さんもおっしゃっていた。

ミーティングを重ね、未来を一緒に描き、そこに行くにはどのようなPR施作を、どんなふうに進めていくのかお伝えするうちに、何か手応えを感じてくださったようだった。

舞台づくりと並行しながら、地道なSNS発信やHP更新を重ね、発信への意識も、驚くほど変化していかれた。

その積み重ねが実を結び、今回は満席、キャンセル待ちまで出る盛況となった。初回公演からPR面を一から伴走してきただけに、胸に込み上げるものがある。

共有いただいたリハーサル動画には、混沌とした闇の中で蠢くような響きから、散華の情景が浮かぶような華やかな響きまでが映っていた。

前回公演から半年ほどのあいだに、「あはひ」として、そしてそれぞれの内側でも、大きな変化の季節を迎えられたのではないかと感じている。

今回は、フライヤーデザインをもとに、リール動画も制作した。すでに満席であったため、今回は集客のためのプロモーションではなく、「今のあはひの世界観を差し出す」ことを主眼に置いた。「昔の公演告知ね」とスワイプされないように、今回の公演に来られなかった人にも、これからあはひと出会う人にも、今のあはひの醸す存在感のようなものを届けたかったのだ。

あえてSNSのアルゴリズムに最適化せず、PR的には情報を相当削ぎ落とした設計にした。あれもこれも伝えたいという欲求と争いながら、あはひとあはひのお客さまを信頼し、凝縮し、翻訳し、そして手放した。

それは、「Awai(間)」に委ねる、というプロセスだったのだと思う。

やや煽動的な構成や、投稿頻度の高さなど、SNS戦略のよくあるセオリーから外れることには勇気がいる。けれど、これまであはひが積み重ねてこられた発信と、これから生み出される舞台には、蛇足だと感じられた。

感じてくださる方に、きっと届く。そう信じて、送り出した。

PRプロデューサーとしては、独自路線を歩んでいるのかもしれない。だが、だからこそ出会える景色や発見も、確かにある。その道程を、お客様と一緒に冒険し、分かち合えたなら、本当に幸せだと思う。

あはひの皆さま、「かがみ開き」本番、誠におめでとうございます。

さて、我が家も「かがみ開き」だ。

年末に夫が餅をつき、私が龍笛で陪臚を奏でた我が家の御鏡も、程よくひびが入り、手で静かに開くことができた。娘はすでに夢の中。大人二人で、丁寧に開いていく。

開いた御鏡をいただくと、歳神様のご神気をお分けいただけるという。工房で仏像と向き合う日々も、神仏の扉を開く営みなのかもしれない。ありがたく、そして何より、おいしくいただきたい。

すべての人の扉が、静かに開き、おもしろき年となりますように。

リール動画、よろしければ音声も一緒にご覧ください。