「神社仏閣・伝統文化専門PR…」
名刺をお渡しすると、たいていの方は珍しそうに目を見開かれる。
PR事業を立ち上げて三年目。テレビや新聞といったメディア対応はもちろん、最近はSNSやHP、チラシにも、PRの視点を取り入れて関わる機会が増えてきた。
その根っこに通っているのは、やはり「物語」だなぁと、クライアントさんからの報告やお言葉から再認識した。
あるクライアントさんが取材を受けたあと、晴れやかな顔でこうおっしゃった。
「すごく流れが生まれたというか、良い物語が紡がれている感じがある」
何気ない雑談の一節だったけれど、「良い物語」という言葉が、私の中でこだました。
プレスリリースもSNSもチラシも、そこに背骨として流れているのはストーリーテリング。そう思って書類やコンテンツの作成にあたっているからだ。
ヒアリングを重ね、さまざまな角度からPR視点という光を当て、物語をすくい上げて編んでいく。その現場の感覚が、クライアントさんにも届いたのだと思うと、本当にうれしかった。
今日も、また別のクライアントさんが「知人にSNSの発信を褒められた」と教えてくださった。
「宣伝ぽくなくて、なんだろうって次にめくりたくなる。見ているうちに、だんだん近くなって“行ってみたい”と思える」
繊細に、確かに感じてくださっていることに驚くと共に、地道に工夫を重ねた発信が、そんなふうに届いたことに安堵した。
私は、クライアントさんから「生の声」をお聞きする。その中には、時に最も知られたくない事情が含まれる。けれど語り方や見せ方によって、それこそが希望を与える核となることもある。
同じ料理でも盛り付けひとつで印象が変わるように、発信の仕方で見え方も届く相手も変わってくる。
「PRは魔法のよう」
PRを教えてくださった笹木郁乃さんが言っていた言葉だ。
今、私はその魔法の一端を、自分の手を通して実感している。クライアントの未来が私の想像を越えて広がっていく、その瞬間をすぐそばで見届けながら。
ふと、キーボードの手を止めると、家族が寝静まった部屋は、涼やかな虫の音と夜の闇に包まれている。
コオロギが跳ね、猫がその影を追って土間の上ではしゃぐ。1日の終わり際、闇の中に交わる小さな命の気配を眺めながら思う。
なんでもないこの夜だってそうだ。全てに、物語が宿っている。


