現代造佛所私記 No.168「再会と始まり」

少し雲の多いお盆。
その短い晴れ間に、愛媛からあるご家族が、工房を訪ねてくださった。

家族6人を乗せた、山間の険路を越えてきたであろう、よく磨かれた大きな車が眼前に現れたとき、娘と顔を見合わせて思わず歓声をあげた。

かつて、薄暗いお堂の中で一緒に木槌を持ったご両親とあの子たちが、お揃いで、ここまで来てくださったなんて……。

約2年前の一月、ご自宅のご本尊として不動明王像を発願され、小さなお子様もご一緒に、ご家族そろって御衣木加持の儀に臨まれた。

あの日、木槌とノミを手に、神妙な面持ちで「コン、コン」と木端を散らしたご家族の姿が、今日の弾けるような笑顔に重なる。

夏のどこまでも眩しい青空のような、ひときわ明るいその雰囲気が、心に響いて仕方がなかった。

特に四人のお子様は、ご無沙汰している間にそれぞれ背が伸び、健やかで利発な表情をたたえていらした。

ご両親の切なる願いと深い愛情が、そのまま命の器に注がれて、こうして目の前に佇んでいる。そう思うと、目の奥が熱くなった。

今回は、ほぼ完成に近づいた不動明王立像をお見せする節目となった。
カヤの木の香りがやわらかく漂う工房で、ご家族の皆さんは静かに、しかし目を輝かせながら、像の前に佇まれた。

「いやもう、理想の表情です。親父にちょっと似ているかもしれないですね」

施主さまの明るい声が響く。
しばらく吉田仏師と二人で語られる様子を見届けたあと、私は作業場の前の川辺ではしゃぐ子どもたちと奥様のもとへ向かった。

お子様たちは、魚や水辺の虫を指差したり、落ち葉を拾ったりしながら、互いに声を掛け合い、目と目で通じ合うように遊んでいた。

娘と同じ学年のお子さんもいらして、娘は興奮したのか、洋服のまま川へ飛び込み、頭までびしょ濡れになっていた。「ここではこうやって遊んだよ!」とでも言いたげだった。

こんなふうに、限られた時間ながらのびのびとご一緒できたことが、ただただ嬉しく、ありがたかった。

このご本尊が、ご家族の暮らしの中で、祈りの場の軸となり、お健やかな心身を育む灯火となることを、心から願わずにはいられない。

発願されたご両親の思いがお不動様に届き、お子様たちの成長の道のりを、より良き方へと導いていかれることを信じている。

そしてその祈りにかたちを与える仕事に携われることの、なんと尊く、稀有なことであろうか。

不動明王像の完成が近づくにつれ、私たちの中にもまた、新たな願いの火が灯されていくような気がしている。

ご家族を見送った帰り道、大きな黒いアゲハ蝶がヒラヒラと舞っていた。
あの子どもたちも、ご両親も、これからきっと、ますます大きく美しい変容を遂げられるのだろう。

花の香りと美しく舞う蝶の姿に、私たちはしばし見惚れていた。