カテゴリー: コラム
現代造佛所私記 No.294「ハワイ書生時代のこと」
20代のころ、海外在住の日本人作家の秘書をしていた。 拠点は東京の事務所。庶務、執筆補助、来客対応。来日時には付き添い、時に代理人の役目も担った。 その作家――ここではM女史としておく――は、世界中を飛び回る人だった。 ...
現代造佛所私記 No.292「1年後、5年後、10年後」
工房では、御安置した後、施主様にご連絡を差し上げることがある。 お像をお納めしてから1年後、5年後、そして10年ごとを目安に、「お元気ですか? お像のその後のコンディションはいかがでしょうか」とお伺いする連絡だ。 今日も...
現代造佛所私記 No.291「仏像をお納めしたその後」
不動明王立像の開眼と奉安を終え、少し時間が経った頃、施主さまから一通のメールが届いた。 法要の折に撮影した写真を受け取ったこと。そして、あの日のコラムを読んでくださったこと。 読み返すたびに、これまでの経過を思い出させて...
現代造佛所私記 No.290「3年手帳(後編)」
家に帰ると、すぐに三年手帳を開いた。新年一月から、2027年までの主な予定を書き入れていく。 来春から動き出すプロジェクト。数年がかりになりそうな仕事。そして、家族の節目や、毎年の行事。 ページを埋めていくうちに、先への...
現代造佛所私記 No.288「3年手帳(前編)」
毎年買っている手帳のレフィルを求めて、文房具店に足を運んだ。 来年の予定が一気に入ってきたのに、長期出張やインフルエンザですっかり後回しになっていた。うっかり忘れてしまわないよう、使い慣れた手帳レフィルを早く用意しなけれ...
現代造佛所私記 No.287「抱きしめたい人」
特別養護老人ホームへ向かう車中、窓の向こうに清流が見えた。水は季節の光をそのまま映して、静かに流れていた。 施設にいる祖母を最後に訪ねたのは、今からもう14年前のことになる。 その日、面会者は私ひとりだった。四人部屋を、...
現代造佛所私記 No.286「冬の芽吹き」
今朝は少し感慨深かった。しぶといはやり風邪を克服した娘の、十日ぶりの登校を見送ったのだ。 過ぎてみると、悪夢から覚めたような気さえする。あの高熱の日々、全身をこわばらせる発作的な咳嗽。ウイルスの粘り腰と、人の治癒力の凄ま...











