現代造佛所私記 No.279「インフルエンザにて」
「はいどうぞ」 熱の体にさりげなく 我が背のポカリは やさしさの味

「はいどうぞ」 熱の体にさりげなく 我が背のポカリは やさしさの味
「コン、コン」 ああ、これは嫌な咳だと思った。 昨夜、娘が軽く咳き込んだその瞬間、元看護師としての直感が働いた。母親としての心配よりも先に、職業的な判断が差し込む。これはまずい、と音もなくアラームが鳴っていた。 クラスに...
発表会場「オーテピア高知図書館」には、四国四県から小学校低学年から中学3年生までの子どもたちが集まっていた。それぞれの自由研究を携えて。 緊張はある。けれど空気はどこか温かく、子どもたちの表情には、自分の研究をやり遂げて...
ウニちゃん、あなたが我が家にやって来たのは、三年前の二月七日の明け方だったね。 母猫が臨月だとわかり、ケージを工夫して作った急ごしらえの分娩室を用意した、その二日後のことだった。 外はまだ真っ暗で、ミーミーという小さな声...
能登の仏像応急処置から戻り、知人宅で預かってもらっていた我が家の猫たちを迎えに行った。 九日ぶりである。知人家族には手間をかけさせてしまったが、送ってもらった写真の様子から、ずいぶん可愛がってくださっていたようだった。本...
朝、娘と並んでバス停までの道を歩いた。 ここ数日で、山の色づきが一気に進んだように思う。娘は、手編みの赤いマフラーを巻いて、私のポケットに手を突っ込んで歩く。 4年前、彼女がまだ幼稚園生だった頃に、100円ショップで自分...
チャパン、チャプ、チャパン、チャプ ゆっくり湯船に浸かり、首元に湯をかけていた。その湯面が立てる音のリズムが、少し意識の深いところに響き始めた。 不意に、幼い日の記憶が立ち上った。 六つくらいの頃、私はよく、今は亡き祖母...