現代造佛所私記 No.375「頬染めて」
頬染めてまんまる両目を輝かせ座りて絵描く病明けの子

頬染めてまんまる両目を輝かせ座りて絵描く病明けの子
春風邪のだるくほてった腹うえに白猫のせて吸ったり吐いたり
桜の開花予想が出た雨の夜。街灯もまばらな海辺の国道を東へ走る。ワイパーが、規則的に右、左と往来する。 店の明かりはすでに消え、視界は良いとは言えない。けれど、目的地へは迷いなく進む。何度も遊びに行った、高校からの友人の家...
娘が言葉を話すようになってから、一番口にしている言葉がある。一日何度も、しかも脈絡なく。彼女にとっては、溢れる心を最大限に表してくれる言葉らしい。 朝、むにゃむにゃとまだ目が覚めきらないうちから。手を繋いでバス停まで歩く...
内田明夫さんとみち子さんご夫妻には、吉田仏師と婚約中の頃からお世話になった。独立後初めての個展には、推薦文を寄せてくださった。その言葉は、今も変わらず私たちを支えている。 結婚前、吉田が着物を贈ってくれた。みち子さんが定...
涅槃会の日である。 神社の月参りの日でもあった。 夫と並んで、人気のない参道を歩く。 冬のあいまに差し込んだ、小休止のような小春日和である。 まるで春が来たような、柔らかく水を含んだ空気を、胸にいっぱい吸い込む。 石段の...
最近、工房の猫「皓月」を、お母さんと呼んでいる。 もちろん冗談である。 朝食の席で、私の箸の上げ下げをじっと見張り、隙を見ては両手で押さえ込み、がぶりと主張するあたり、なかなかの貫禄だ。 いっぽう夫の膝には、するりと乗っ...