現代造佛所私記 No.353「最後の味噌」
内田明夫さんとみち子さんご夫妻には、吉田仏師と婚約中の頃からお世話になった。独立後初めての個展には、推薦文を寄せてくださった。その言葉は、今も変わらず私たちを支えている。 結婚前、吉田が着物を贈ってくれた。みち子さんが定...

内田明夫さんとみち子さんご夫妻には、吉田仏師と婚約中の頃からお世話になった。独立後初めての個展には、推薦文を寄せてくださった。その言葉は、今も変わらず私たちを支えている。 結婚前、吉田が着物を贈ってくれた。みち子さんが定...
涅槃会の日である。 神社の月参りの日でもあった。 夫と並んで、人気のない参道を歩く。 冬のあいまに差し込んだ、小休止のような小春日和である。 まるで春が来たような、柔らかく水を含んだ空気を、胸にいっぱい吸い込む。 石段の...
最近、工房の猫「皓月」を、お母さんと呼んでいる。 もちろん冗談である。 朝食の席で、私の箸の上げ下げをじっと見張り、隙を見ては両手で押さえ込み、がぶりと主張するあたり、なかなかの貫禄だ。 いっぽう夫の膝には、するりと乗っ...
今日は節分である。 五時過ぎ、帰宅した娘に「まだ明るいうちに追儺をしよう」と声をかけた。 「うーん、寒いよぅ。宿題もあるし……」 そう言いながらも、娘は自分から赤鬼の面を手に取る。私は福の神の面を頭にのせ、二人で手を繋い...
山のふもとに、車で通り過ぎるだけの一角がある。 車を止めるほどの余白はなく、今は使われなくなったゴミステーションと、社への階段があるだけの、ゆるやかなカーブの場所だ。 ここは、梅の季節だけは、少し特別になる。 私は決まっ...
夏に、何度かメダカのことを書いた。 No.134「干渉し合う生命」No.146「祝・メダカの赤ちゃん」 昨夏、四匹のメダカを家族で迎えた。黒い「オロチ」と、銀色に緑が差して光る「緑光」という種類で、それぞれをペアで購入し...
咲き初めた寒芍薬のむらさきの露に願ひて子の健やかさ 娘が高熱のため、本日は短歌としました。
約束の生チョコ作りの昼下がり思わぬ熱にうるむ目いとし