現代造佛所私記 No.264「電動歯ブラシと背中 (後編)」

のと里山空港から最初の寺院へ向かう道中、崩れた道路や、震災後の豪雨の爪痕が、なまなましく残っていた。まだ余震も続いていた。 タクシーの窓から見る景色には、ずっとずっと昔から続く、家族の、地域の暮らしの佇まいがあった。私た...

現代造佛所私記 No.263「電動歯ブラシと背中 (前編)」

ちょうど一年前のこと。本格的な木枯らしが吹き始める直前の一週間、私たちは国の文化財レスキュー事業の一環として、能登半島地震で被災した仏像の応急処置のために能登へ向かうことになっていた。 当時、娘は小学二年生。留守のあいだ...

現代造佛所私記 No.248「世にも珍しい仏像工房発のPRサービス(4)文化を紡ぐPRへ」

「文化を伝える」という営みは、思っていたよりもずっと深く、広い。そして、簡単なものではなかった。 承欣(しょうごん)としてPR支援を始めてから、さまざまな方々とご一緒してきた。SNS発信やメディア掲載の積み重ねを経て、大...

現代造佛所私記 No.246「世にも珍しい仏像工房発のPRサービス(2)独学でのPR」

仁王像の修理が始まるころ、私はふと思った。――この営みを、ただ修理で終わらせてはいけないのではないか。 ここで暮らす人々の祈りや、故郷を思う気持ちを、きちんと伝えたい。そんな思いが、胸の奥でふつふつと湧きあがってきたのだ...

現代造佛所私記 No.245「世にも珍しい仏像工房発のPRサービス(1)ある修理をきっかけに」

「またマスコミが来てくれるろう? がんばらんとな!」 高知県香南市の山あいの寺に、ひょうきんな声が響いた。檀家会でのことである。その明るい笑いに、場の空気がふっと緩んだ。私も思わず笑顔になった。仏像工房の経営者として、こ...