現代造佛所私記 No.269「埃と泥〜文化財版アベンジャーズ」

「まもなく着陸態勢にはいります」 機内アナウンスに、はっと意識が浮上した。気流の影響で揺れが続いたフライトだったようで、機内サービスも省略されたという謝罪の声が流れている。 「もう着いたのか」 ゆっくり高度を下げる機体に...

現代造佛所私記 No.268「工事の音と三宝と」

ガタン、ガタン。ブーン。ドーン。 小高い丘の上の境内で、重機が絶えず首を振っている。 背後で「コン」と小さな音がして振り返ると、一尺ほどの板材が車のボディに泥をつけ、ぽとりと落ちた。足元のぬかるんだ地面には、似たような端...

現代造佛所私記 No.266「コインランドリーも他生の縁」

諸事情があって、夫は久しぶりに、私は生まれて初めて、コインランドリーというものへ足を踏み入れることになった。 夜のとばりが降りて、通りを歩く人の姿もまばらになった頃。洗濯物を詰めた大きな袋を三つ、二人で分け合い、灯りのと...

現代造佛所私記 No.264「電動歯ブラシと背中 (後編)」

のと里山空港から最初の寺院へ向かう道中、崩れた道路や、震災後の豪雨の爪痕が、なまなましく残っていた。まだ余震も続いていた。 タクシーの窓から見る景色には、ずっとずっと昔から続く、家族の、地域の暮らしの佇まいがあった。私た...