現代造佛所私記 No.165「めったやたらに」
今日も、家事や仕事のタスクが雪崩のように押し寄せ、マルチタスク状態が発動している。 あれもこれも片付けなくてはならない。「それはこの辺で切り上げておこう。午後2時にパッキングして、3時に出発。18時までには目的地に到着し...

今日も、家事や仕事のタスクが雪崩のように押し寄せ、マルチタスク状態が発動している。 あれもこれも片付けなくてはならない。「それはこの辺で切り上げておこう。午後2時にパッキングして、3時に出発。18時までには目的地に到着し...
千日コラムを始めたのは、仏師である夫と共に営む工房の記録を、日々の暮らしごと残していきたいと思ったからだった。 仏像のこと、修理の現場、祭典の裏側——最初はその枠の中で語るつもりだった。けれど日を重ねるうちに、工房で交わ...
若き空海が、唐へ渡る前、室戸(むろと/高知県)の御堂で修行していた。そこへ、魔物たちがわらわらと集まり、修行の場をかき乱したという。 そんな場面が描かれているのが、弘法大師空海の一生を描いた「弘法大師行状絵巻」だ。 ——...
正午を前に、草むらの片隅に、檜扇(ひおうぎ)が咲いていた。橙に斑の入った花弁が、まだ暑さの芯の残る夏の光を受けて輪郭を際立たせ、茎は迷いなく伸びている。控えめながら孤高の佇まいを感じるその姿は、茶室に活けると不思議と優雅...
娘がずっと行きたがっていた、市内の図書館で開催された「まんがBASE」のイベントに足を運んだ。 会場は、空調のきいた図書館の2階の一室。受付で「大人の方もどうぞ」とやさしく声をかけられ、子どもの付き添いのつもりだった私は...
今年は、肌で感じる限り、乾いた日が続いていた。午前11時頃には日も差し、「今日も暑いね」などと夫と言葉を交わしていただのが——。 突然、みるみるうちに空が鉛色になり、サーッと涼やかに雨が降り出した。日照り続きだったからだ...
季節の移ろいにふと気づくように、デジタルの世界の中でも、相手のちょっとした変化を感じとる瞬間がある。 たとえば、今日がそうだった。 暑さもセミの声も、まだ夏そのもの。だけど、ふと見上げてハッとした。家の前の小川の向こうに...
太平洋に注ぐ、雲間からの光が神々しい。私たちは、日暮れの海辺に立っていた。まとわりつく湿った潮風が、ぬるま湯のように肌にからみ、じわじわと体を火照らせる。 返却期限を迎えた百年前の本を図書館に返し、その帰り道、夫と娘とで...
昨夕、考えを整理するために、散歩に出かけた。……といっても、家の前の小川沿いの道を、ただテクテクと往復するだけだ。けれど、ずっとパソコンの前に座っているよりはましだと思い、表に出た。 夏の夕方というのは、午後と夜のあいだ...