現代造佛所私記 No.172「混沌と、ひとつかみの花」
Throw up into your typewriter every morning.Clean up every noon.— Raymond Chandler 心の中にあるのは、いつも豊かな混沌。なのだと思う。 そ...

Throw up into your typewriter every morning.Clean up every noon.— Raymond Chandler 心の中にあるのは、いつも豊かな混沌。なのだと思う。 そ...
何日も前から娘は、指折り数えてこの日を待っていた。 同級生とそのご家族が、私たちの家の近くのキャンプ場に遊びに来る、と聞いてから、「あと何日?」「お菓子パーティしたい!」「お泊まりしたい!」と心が弾んで仕方ない様子だった...
赤子の頃から中学生まで一緒に過ごした幼なじみと、久しぶりにごはんを食べた。 場所は、高知市の石窯のある本格イタリアン。やさしい照明の下、生花やピノキオの置物など、かわいいオブジェが飾られている。親しみやすさと洗練が同居す...
正午、父が短く「黙祷」と告げた。実家の居間で、その声に合わせて背筋を伸ばす。目を閉じると、夏の光がまぶたの裏に赤く滲み、遠くで蝉が途切れ途切れに鳴いているのが聞こえた。 やがて、あたりは不思議なほど静まり返った。時計の秒...
昼下がり、実家の和室でひとり龍笛の稽古をしていた。 床の間にはお盆の飾り。金蘭の敷物に、大日如来を中心とした十三仏の掛け軸、位牌や果物、お菓子が並んでいる。ほのかに漂うお線香の香りが、しっとりと空気を満たしていた。ここは...
今日も、家事や仕事のタスクが雪崩のように押し寄せ、マルチタスク状態が発動している。 あれもこれも片付けなくてはならない。「それはこの辺で切り上げておこう。午後2時にパッキングして、3時に出発。18時までには目的地に到着し...
千日コラムを始めたのは、仏師である夫と共に営む工房の記録を、日々の暮らしごと残していきたいと思ったからだった。 仏像のこと、修理の現場、祭典の裏側——最初はその枠の中で語るつもりだった。けれど日を重ねるうちに、工房で交わ...
若き空海が、唐へ渡る前、室戸(むろと/高知県)の御堂で修行していた。そこへ、魔物たちがわらわらと集まり、修行の場をかき乱したという。 そんな場面が描かれているのが、弘法大師空海の一生を描いた「弘法大師行状絵巻」だ。 ——...