現代造佛所私記 No.273「第75回 四国児童・生徒科学体験発表会によせて」
発表会場「オーテピア高知図書館」には、四国四県から小学校低学年から中学3年生までの子どもたちが集まっていた。それぞれの自由研究を携えて。 緊張はある。けれど空気はどこか温かく、子どもたちの表情には、自分の研究をやり遂げて...

発表会場「オーテピア高知図書館」には、四国四県から小学校低学年から中学3年生までの子どもたちが集まっていた。それぞれの自由研究を携えて。 緊張はある。けれど空気はどこか温かく、子どもたちの表情には、自分の研究をやり遂げて...
ウニちゃん、あなたが我が家にやって来たのは、三年前の二月七日の明け方だったね。 母猫が臨月だとわかり、ケージを工夫して作った急ごしらえの分娩室を用意した、その二日後のことだった。 外はまだ真っ暗で、ミーミーという小さな声...
五日間にわたる仏像の応急処置を終えた。今回の拠点は輪島市である。 出発の朝、宿の女将さんとしばらく言葉を交わした。ご自宅は半壊し、元のように建て直す資金はないという。補助の範囲で、どうにか住めるよう整えるしかない。宿その...
能登の仏像応急処置から戻り、知人宅で預かってもらっていた我が家の猫たちを迎えに行った。 九日ぶりである。知人家族には手間をかけさせてしまったが、送ってもらった写真の様子から、ずいぶん可愛がってくださっていたようだった。本...
「まもなく着陸態勢にはいります」 機内アナウンスに、はっと意識が浮上した。気流の影響で揺れが続いたフライトだったようで、機内サービスも省略されたという謝罪の声が流れている。 「もう着いたのか」 ゆっくり高度を下げる機体に...
ガタン、ガタン。ブーン。ドーン。 小高い丘の上の境内で、重機が絶えず首を振っている。 背後で「コン」と小さな音がして振り返ると、一尺ほどの板材が車のボディに泥をつけ、ぽとりと落ちた。足元のぬかるんだ地面には、似たような端...
ガタガタと、急勾配をトラックに揺られて登る。乾いた土で化粧されている、根をあらわにした木の束が、カーブの脇に積み上げられていた。 やがて眼下に、ほんのり桃色に染まり始めた空と、穏やかな北の海が広がり息を呑んだ。 この先の...
諸事情があって、夫は久しぶりに、私は生まれて初めて、コインランドリーというものへ足を踏み入れることになった。 夜のとばりが降りて、通りを歩く人の姿もまばらになった頃。洗濯物を詰めた大きな袋を三つ、二人で分け合い、灯りのと...
昨年の晩秋、能登へ赴いた。国の文化財レスキューの一環として、震災で被害を受けた寺院を巡り、仏像の応急処置を施すためである。 訪れた寺はどれも、地震の爪痕を生々しく残していた。廊下の板が抜け落ち、境内の一部が土砂もろとも崩...