現代造佛所私記 No.342「野草茶」
「へぇ、いたどりかぁ」 家の近くにある、カフェ併設のキャンプ場。そこには、地元の人が作った日用品や雑貨、手仕事のお茶などが、静かにつつましく並んでいる。 野草茶の種類もいくつかあり、友人知人が訪れると、まとめて買い求めて...

「へぇ、いたどりかぁ」 家の近くにある、カフェ併設のキャンプ場。そこには、地元の人が作った日用品や雑貨、手仕事のお茶などが、静かにつつましく並んでいる。 野草茶の種類もいくつかあり、友人知人が訪れると、まとめて買い求めて...
「できたのですね!」 デバイスの液晶に、まるで肉声がそのまま立ち上がってくるような文字が並んでいた。 二年お待ちいただいた造像が完成し、開眼法要の段取りを整えるためにご連絡を差し上げると、すぐに返ってきた言葉である。 こ...
製作途中の仏像と、参考文献、道具箱。作務衣姿の二人で抱え、地元の公立中学校の校門をくぐる。 ほどなく、ガラス戸に貼られた案内が目に入った。 そこには「仕事の達人」とあり、招かれた講師の名前が縦に並んでいる。初めて訪れる学...
今日は節分である。 五時過ぎ、帰宅した娘に「まだ明るいうちに追儺をしよう」と声をかけた。 「うーん、寒いよぅ。宿題もあるし……」 そう言いながらも、娘は自分から赤鬼の面を手に取る。私は福の神の面を頭にのせ、二人で手を繋い...
山のふもとに、車で通り過ぎるだけの一角がある。 車を止めるほどの余白はなく、今は使われなくなったゴミステーションと、社への階段があるだけの、ゆるやかなカーブの場所だ。 ここは、梅の季節だけは、少し特別になる。 私は決まっ...
「おいしそう〜」 節分の豆や、ヒノキの一合升を並べていると、インフルエンザから解放されたばかりの娘が、頬を上気させながら台所を覗いていた。 節分前の休日は、立春のお札作り、掃除、そして節分の支度。 「これはね、節分用の豆...
夏に、何度かメダカのことを書いた。 No.134「干渉し合う生命」No.146「祝・メダカの赤ちゃん」 昨夏、四匹のメダカを家族で迎えた。黒い「オロチ」と、銀色に緑が差して光る「緑光」という種類で、それぞれをペアで購入し...
もうすぐ立春。 諸事情あり、いつもは元旦にお送りしている年賀状を、今年は立春にお送りすることにした。 太陰太陽暦のお正月ということで、通例とは少し異なる時期だが、「立春大吉のご挨拶」として、年賀状をお送りくださった方にご...
小さな観音さまのお像の、小さくも手厚い開眼法要であった。 一夜明けたいまも、残り香のような余韻が、心の奥に静かに漂っている。 法要のあと、和尚さまが、大きなエコバッグいっぱいに、使わなくなった仏具を持たせてくださった。香...
「あぁ、なんていいお顔されてるんでしょう」 涙を拭いながら、何度もそうおっしゃるお客さま。その横で、私も目が潤んでしまう。 手作りのお仏壇に、使い込まれたお経。ご主人様のご位牌、やさしい笑顔の遺影。今思い返しても、涙が滲...