現代造佛所私記 No.227「かまどさん」
新米の季節になった。父が田んぼを手放してから最初の秋を迎えた。寂しく思っていたが、思いがけずあちこちからお米をお届けいただいた。袋を開けると、新米の独特の芳しさが鼻をくすぐる。 今朝、とんでもない失敗をした。炊飯器の電源...

新米の季節になった。父が田んぼを手放してから最初の秋を迎えた。寂しく思っていたが、思いがけずあちこちからお米をお届けいただいた。袋を開けると、新米の独特の芳しさが鼻をくすぐる。 今朝、とんでもない失敗をした。炊飯器の電源...
本日、お茶の稽古で「花月」をした。 七事式という、集団で行う茶の湯の稽古法のうちの一つである。遊戯性があって好きなのだが、稽古する機会が少なく、ルールがまだ掴めていないというのが正直なところだ。 「折据」という、五枚の札...
先日、温浴施設で倒れた人の対応をした。そのお礼にと、入浴券をいただいた。家族で早速、再訪する。 低温の塩サウナと高温遠赤外線サウナ。二つの熱を楽しんだ。翌朝、目覚めた時は心地よかった。体がポカポカと温かい。ところが午後に...
終齢になった芋虫たちが、ある朝、妙に騒がしそうだった。枝から枝へ、地面へ。まるで何かを探しているみたいに、せわしなく這いまわっている。 気づくと、メダカの住まう睡蓮鉢の縁に、ハーブのプランターの脇に、あるいはアスファルト...
快晴。金木犀の香りが色濃く、日差しに力を感じる朝だった。今日は生涯大学での三度目の講演。午前中、資料と原稿に最後の目を通し、車で小一時間ほどの会場へ向かう。正午近く、秋の陽は容赦なく降りそそいでいた。 文化施設の最上階に...
ひとつの節目を迎えたように思う。 お茶の師匠が「そろそろ茶名を考えておいてね」と声をかけてくださった。その静かな声が、胸の奥でこだましている。 幼い頃、母は家でお茶の稽古をしていた。夕飯を終えて、まだ慌ただしい台所で湯を...
満月の翌朝。空はまだ薄暗く、少し雲がかかっていた。玄関を出ると、ひんやりとした新しい空気が肌に触れる。 娘をバス停へ送る道すがら、手を繋ぎ川沿いの小道をテクテク歩く。川向こうに熟れた柿の実が重たげに枝にぶら下がり、石垣に...
休日の午後、家族で日帰り温泉に出かけた。湯けむりの向こうに秋の陽が差す。日中はまだ夏日が続いているというのに、湯の温もりが体の奥まで沁みた。 お湯から上がり、棚のタオルを取りに行くと、何やら人だかりができていた。サウナを...
夏の名残を惜しむうちに、いつしか中秋の名月である。忙しさに紛れて空を見上げることさえ忘れていた私に、娘が言った。 「お団子つくりたい」 何度目の、お月見団子だろう。四歳のときからずっと、私の真似をして小さな手でこねてきた...
メールやチャットで挨拶も事足りる時代に、和紙と筆をとる。時代遅れになりつつある行為かもしれない。けれど、こんなにも心を澄ませて、温かな気持ちにさせてくれるとは。 パソコンで文章を推敲したのち、机の上をきゅっと拭き上げ、乾...