現代造佛所私記 No.373「1歳のお祝いは淡々と」
今月のオンラインミーティングも、いつもと変わらず始まった。 「1000日チャレンジ」を続けるメンバーたちと月に一度、各自の一ヶ月を持ち寄っている。 我が家では、娘が昨日から発熱していた。40度近い熱で、朝から汚れた寝衣を...

今月のオンラインミーティングも、いつもと変わらず始まった。 「1000日チャレンジ」を続けるメンバーたちと月に一度、各自の一ヶ月を持ち寄っている。 我が家では、娘が昨日から発熱していた。40度近い熱で、朝から汚れた寝衣を...
週末の朝、夫婦で遅い朝食をとっていた。 蒸籠に残った最後の温野菜を譲り合い、ヨーグルトのデザートを半分こしながら、さてこれからの段取りはと、お互い考え始めたときだった。 「そうだ、この間撮った、如来の写真を送ってくれる?...
「手紙を食べる森」という言葉が、どうやって私の前に来たのか、自分でもよくわからない。 気づいたときに生まれていた。タイトルだけが先に。 そこから書き始めると、物語は勝手に動いた。1,000字くらいにまとめるつもりが、気づ...
松浦は、女の返事を待たずに「小夏の後始末するから」と、農作業用の小屋にさっさと入って行った。マルがブルブルっと体を降った。 二人と一匹は大樹の車に乗り込み、タキばあの家に向かう。十五時を過ぎても、雨は衰える気配がない。 ...
「なんと書かれたのか、お聞きしてもいいですか?」「——おかいさん以外のものが食べたくなったら教えてください、と」 大樹はニコッと笑って、おかいさんって、お粥のことです、と申し添えた。女は不思議そうに首を傾げながら、二、三...
枝を踏む音がして、若い女がひとり、右のこめかみを拳で押さえながら、木陰から姿を現した。 年のころは、二十八か九か。海外のアウトドアブランドのウィンドシェル、鮮やかなコーラルピンク。ハーフパンツから靴までレギンスでしっかり...
村の伝承では、八百年以上前から、この森は願いの手紙を食べてきたと言われていた。郷土史にほんの数行、それからタキばあが登場した新聞記事に、チラッと書かれているくらいで、詳しいことはわかっていない。 しかし、その昔、祖父の洋...
「ほんでも、ようきたにゃぁ。えらい都会の風ふかしてから、なぁ!ははは」 黄色い果実がどっさり入ったコンテナを物色しながら、松浦は大きな声で話し続ける。大樹は屈んで、マルの頭や体を撫でた。マルは尻尾をブンブンと振り回し、ぴ...
タキばあの家を出た先のT字路を北へ進むと、九十九折りの一本道がある。それを登りきるとこんもりとした森がある。これが、「楠久(くすく)の森」だ。 道の脇には、苔むす大小の石たちが、パズルのように組み合わさって石垣を成してい...
大樹がその集落跡に着いたのは、朝の八時だった。高知市から車で40分、山道を登ってやってきたのは、父方の祖母の家である——と言ってももう六年ほど空き家になっているが。 日焼けで脱色された縁側に腰かけると、幼少期に遊んだ景色...