花桃が、まぁるい蕾を枝にぽこぽことつけている。可愛らしくて、声をかけてしまう。白くどこまでも清潔な蕾、めでたく桃色に染まった蕾、色が混ざった蕾、同じ木に異なる色や模様の蕾がつくこの木が、本当に好きだ。ぷっくり膨らんで、今にもほころびそう。そんな勢いも、心を明るくする。
浮き立つ春の心。でも、それは春だけのせいではないだろう。きっと、これから向かう雅楽演奏会のリハーサルの予感もある。
——その予感は当たった。
今回のメンバーの組み合わせは初めてだったが、最初からぴたりと息が合って、お互いに合奏の幸せを噛み締めた。
練習場所に地元のケーブルテレビも事前取材にいらした。ひと通り段取りを伝えると、「これ、よかったら」とビタミンたっぷりのジュースを手渡してくださった。紙袋の中を覗くと、手書きの応援メッセージがあった。六年のおつきあいになる。いつの間にか、一緒に地元の良さを発掘しているような間柄になっていた。
一通り練習を終えたあと、桜の精に誘われてか、当日演奏しない曲を遊び始めてしまった。蘭陵王、管絃、そして長慶子。
「楽しすぎる!」
音で遊び、笑いの絶えない四時間だった。この雅楽が好きで好きで仕方がないメンバーと、また数日後、ここへ帰ってくる。
この雲中奏楽団に魂が宿るとしたら、それはきっと、自然と音と人が遊ぶ場を欲している。——今夜降っているこの柔らかな雨も、きっと雲中の遊び相手になる。
※本演奏会は、よさこい高知文化祭2026応援事業です。


