三月末の演奏会のチラシが届いた。公民館の方が提案してくださった一枚である。眺めるだけで、そこに春の風が吹くようだ。
刷り上がったばかりのチラシを、早速お茶の社中へ持参した。「何年前の写真つかいゆうがで〜」 と笑われながらも、「これ、持って帰ってえい?」とお姉さま方が手を伸ばしてくださる。
軽口と応援が混じるあの感じが、いかにも”らしく”て、ありがたい。また、追加の印刷を館長さんに頼まねば。
一つの演奏会を成り立たせるには、たとえ小規模であれ、数多くの調整がある。演目、曲順、動線、楽器の構成、出演者や会場との連絡。PRプロデューサーとしても、考えごとが止まらない。
準備の一つ一つの積み重ねの中に、確かな喜びがある。
今回の演奏会は、来年度開催される「よさこい高知文化祭」の応援事業でもある。文化庁と都道府県が共同で主催する文化の祭典だ。
この土地で醸成されてきた多様な文化に、あらためて光が当たる年である。 その流れの中の一つとして、私たち雲中奏楽団も楽を差し出す。千年を超えて受け継がれてきた雅楽の旋律と、やなせたかしさんも携わった舞台で歌われた、今を生きる人のための曲とを携えて。
今回は、高知と香川からご縁ある伶人が客演として駆けつけてくださる。心強い春の布陣である。
お茶の稽古場には、福寿草と利休梅が、瀬戸焼の花入に楚々と咲いていた。小さな蕾と、開きかけた花びら。それぞれが、新しい季節を告げている。
演奏会でも、その花の力を少し借りようと、ささやかな趣向を考えている。その頃には、どんな花が咲いているだろう。
小さな演奏会である。けれども、春の穏やかさと、悲しみのない雅楽の音色を、場に刻印できることを、幸せに思う。
奇しくも、春のお彼岸の頃。この土地の文化を育んできた祖霊への、ささやかな回向ともなればと願っている。
ご都合がよろしい方は、共にしていただけたら嬉しい。


