現代造佛所私記 No.335「立春の準備」

もうすぐ立春。

諸事情あり、いつもは元旦にお送りしている年賀状を、今年は立春にお送りすることにした。

太陰太陽暦のお正月ということで、通例とは少し異なる時期だが、「立春大吉のご挨拶」ということで、年賀状をお送りくださった方にご用意している。

「あれ、今年は吉田から年賀状が返ってこないな」と思われている方も、どうぞ今しばらく、立春の気配とともにお待ちいただけたらありがたい。

毎年、その年に製作した仏像を一つ選んで、印刷している。今回は、いくつかあり迷ったのだが、彩色と截金が鮮やかな「稚児大師」にした。

彩色と截金は、並木秀俊さん。

現在は既に、雪深い北海道のお寺に奉安されている。弘法大師御生誕1250年を祝して、ご住職が発願された。

この稚児大師は、かの有名な弘法大師空海の幼少期のお姿で、「夢に常に八葉蓮華の中に居坐して諸仏と共に語る」と伝わっている様子を御像にしたものだ。

吉田仏師から、お像にまつわるエピソードを聞くと、「あぁそんな夢を私も見てみたものだなぁ」「八葉蓮華の座り心地はどんなだろう?」などとふわふわと夢想が始まったのだが、はたと気づく。

5〜6歳で諸仏と「共に語る」?そんなことを「常に」?

可愛らしいお姿に、平伏したくなる御徳を備えて在わす、真魚(まお:弘法大師空海の幼名)さまなのだ。

たくさんの情報が詰め込まれている小さなお像、それをハガキに写して、お山の工房からのご挨拶。

蕗のとうが一つ、二つ、顔を出し、寒気の中に春の微かな兆しをとらえる一月の末に、賀状の送り主一人一人のことを思いながら過ごす豊かな時間。

そんな時間を過ごせることを、ただ、ありがたく思う。

蓮弁を葺(ふ)く様子も、よろしければご覧ください。