現代造佛所私記 No.328「生き活き大学で仏像と人の物語」

高知県老人クラブ連合会が運営する「生き活き大学」で、講師を務めさせていただいた。 「仏像と人の物語」と題し、仏像と私たちの出会い、工房にいらした方々の悲喜こもごもを、仏像製作のプロセスとともにお話しする、という内容である。

昨年、講演をお聞きくださった方が、「良いお話だったから」と、こちらの団体にもおすすめくださったのだそうだ。専門的な話も多い授業なので、どのように受け取っていただけただろうか?心の片隅でやはり気にしていたので、その言葉を当日まで反芻した。

この日は五十名弱の方が受講くださった。七十代から八十代の女性がほとんどで、皆さま、まっすぐにこちらを見て、真剣に耳を傾けておられた。会場には、落ち着いた集中の気配が満ちていた。

スクリーンには、工房で生まれた仏像の数々と、御修理で再び息を吹き返したお像たちが映る。写真が切り替わるたび、小さな感嘆の声が、波紋のように広がっては消えた。

笑いがあり、涙もあり、六十分はあっという間に過ぎていった。

話が三分の二ほど進んだところで、あとどれくらい時間が残っているだろうかと時計に目をやると、すでに終了時刻を迎えていた。 専門的な言葉も多いため、できるだけゆっくり、言葉を補いながら話していたら、少し時間を超えてしまったようだ。

最後は駆け足になったが、皆さまは温かな拍手を送ってくださった。

「高知に仏師さんがいらっしゃるなんて、知りませんでした。とてもいいお話でした」

終わった後、そう声をかけに来てくださる方がいた。

そして、その方にとって、今日という日が仏像との物語の始まりとなった。 心が先に動いて、その存在の重力に、突然影響を受け始める。そんな瞬間が、確かにあった。

仏像と、ある日突然出会う。――吉田仏師も、私も、そうだった。

それはまるで、恋に落ちることに似ている。 そして、御仏に焦がれることは、唯一、罪のない執着なのかもしれない。

誰かのその瞬間に立ち会えることの、なんと稀有なことか。