現代造佛所私記 No.307「文殊さまの功徳」

本日も、晴れ着で初詣に出かけた。

午後、竹林寺さま(高知市)にお詣りすると、本堂の前にはすでに長い列ができていた。老若男女、途切れることなく人が並び、ゆっくりと進んでいく。

読経の声、参拝者がつく鐘の音。
正月らしい賑わいのなかに、香の匂いが華やかに漂っている。

参拝される人々の姿の、なんと尊いことだろう。
どの背中も、どの横顔も、幼子のような無垢さを帯びて見える。御仏に心を向けるとき、人はこのような透明感のある姿になるのだろうか。

私たちも列に加わった。

実は、あるお仏像のことでご住職の海老塚さまにお伺いしたことがあったが、正月のご多忙を思い、この日はお詣りだけにしようと話していた。

その折、海老塚住職が新春のご法話のため、本堂前に姿を現された。

列に並んでいた人も、参拝を終えた人も、思い思いに足を止め、輪になる。皆で仏さまのお話を聴授する光景が、なんとも温かく胸に沁みた。

やがて順番が回り、お賽銭箱の前に立ったとき、ちょうどご法話を終えた住職とお目にかかることができた。ありがたい偶然だ。

新年のご挨拶を交わすと、娘に向かって
「大きくなったね」
と、やさしく声をかけてくださった。

住職は数珠を取り、娘の頭にそっと触れ、ご真言を唱えて功徳を授けてくださった。

私たちの用向きにも丁寧に耳を傾け、工房の歩みについて、あたたかな励ましの言葉を添えてくださった。

新本坊落慶の折、受付にお納めした吉田作の懸仏も、新年の飾りに囲まれ、参拝者を静かに見守っていた。

昨日は、修理や製作を手がけたお像が、祈りの場で命をいただく姿に胸を打たれた。そして今日も、その感動が、さらに深く身体に染み込んでくる。

地元で、こうして関わらせていただくお像が増えていくこと。それは仏像工房として、この上なくありがたいことだと、あらためて思う。

オン・アラハシャ・ノウ