師走の準備も大詰め。年越しの支度で、買い出しに出た。
あちこち店を梯子して、必要なものを買い揃えた帰り道、日が落ちていく空が、思いがけず美しかった。
太平洋に沈む師走の太陽。 急ぐでもなく、名残を惜しむでもない、何度も見てきた土佐の日没の風景だ。
「あぁ綺麗だね」「綺麗だなぁ」
夫婦どちらからともなく声を漏らす。年の瀬の日没、それだけで心に深く染みるものがあった。
夜は、たこ焼きにした。「冬休みに入ったら、たこ焼きして!」と前々から娘たっての希望だったのだ。
たこ焼き器を使うのは、まだ三度目だ。ちょうど今日、テレビで放送される映画を見ながら焼くことにした。我が家では珍しい過ごし方だ。
小麦粉とだし汁を混ぜ、卵を溶いて合わせ、頂き物の野菜を刻んで入れる。鉄板に液を流し込み、具をパラパラと落とす。
ゆるい生地が、ジュージューと焼け始めると、香ばしい香りが胃袋に直接聞き始める。屋台で見るように、箸やピックで突きながら、丸く丸く円満な姿にまとめていく。
その表面に、まるで惑星のような模様の焼き色がつくのは、見ているだけでもなんとなく楽しいものだ。これぞ、鉄板の上の宇宙。
途中で作りたし、結局六十個あまり焼いた。食べきれなかった分は、冷凍にしまった。ちょうど家族三人でちょっとおやつにするくらいの分量だ。
たこ焼きのあとも、映画はまだ続いていた。CMごとに後片付けを済ませ、皆で居間でのんびり過ごしながら、私は娘に頼まれていたシュシュを縫った。さらにその合間に、黒豆を煮て、田づくりを作り、出汁もひいた。砂糖は、レシピより六割ほどに控えるのがポイントだ。すっきりめが、我が家の好みである。
なますに、栗きんとんの下ごしらえを済ませ、一区切り。
「今日はここまで」
自分に言い聞かせるようにつぶやく。
取り止めのない1日のコラムは、とりとめない。 吉田家のお正月支度は、もう少し。



