お寺の檀家さんやお知り合いに混ぜていただき、当工房も年末恒例の餅つきに参加した。
一晩水に浸した二升のもち米ともろぶたを抱え、いざ出陣。
舞台となるお寺の庫裡前に到着すると、すでに蒸しあがったもち米の香りが、冬の空気に芳しく溶けている。
「吉田さんは大事な腕やき、傷めんように」
そんな声をかけていただきながら、吉田仏師は、冬の澄んだ空の下、最後までしっかりと杵を握り、餅をつききった。
腕が重い、とこぼしつつも、檀家さんと交代して、臼の中の餅米を、見る見るうちに仕上げていく。
臼から運ばれるつきたての餅は、まるで生まれたばかりの赤子のようだ。そのつきあがった餅を、成形するのは女性陣。
私もその輪の中で、ひたすらちぎっては丸めた。
人手が足りているときには、餅つきのリズムに合わせて、笛を吹いた。吉田家の餅には、越天楽を聞かせてやった。「いいねぇ!」と尼僧さんから声がかかる。
昼には、つきたての餅と、お寺で炊かれたおでんで、皆で食卓を囲む
下は六歳から、上は九十一歳まで。老若男女が自然に役割を分け合い、助け合いながら過ごすひとときに、一年分の疲れがゆるんでいくのを感じた。
笑い声のたえない、年の瀬の昼下がりであった。
餅つきのあとは、しめ縄づくり。
高知に移住してからというもの、正月のしめ縄は、ほとんど手作りしている。
夫婦で、藁をぎゅっぎゅとねじりあげ、ウラジロやユズリハを差し込む。あとは橙をつけるだけだ。
娘は輪飾りのしめ縄を綯(な)い、南天の葉と実をあしらって、ひときわ華やかに仕上げた。
いろいろなことがあった二〇二五年。
こうして無事に新年の支度ができることを、心からありがたく思う。
夕方、帰宅すると、吉田仏師はふたたび作業場へ向かった。
仕事と年始の支度を並行する姿は、例年通りである。
今年も、あと少し。
どうぞ皆さまも、お健やかに年を越されますように。


