さて、固着した汚れが見えても、水や洗剤は基本的に使用しない方が無難である。
また、虫害については、新しいお像であればまず心配ない。木の成分によって、自然な防虫効果がある。万が一、虫穴や虫糞を見つけた場合でも、市販の殺虫剤や防虫剤を使用したり、虫穴を塞いだりすることは避けたい。尊容に影響を与えることがあるためだ。
ただし、安置場所の掃除は抜かりなく。もし不安がある場合は、専門家に相談するのが安心。
4)クリーニング
片手に筆、もう一方の手にハンディクリーナーを持ち、高いところから、筆でやさしく埃を払う。それと同時に、舞っている埃をクリーナーで吸い取る。
さっ、さっ、さっ、と軽やかに。
筆は、決して力を入れない。お像の輪郭をなぞるように動かしていく。
※ ここでは、木地像(無彩色)を想定しているが、部分的に彩色や截金が施されている場合は注意が必要。軽い摩擦でも剥がれることがあるため、筆は、毛先が触れるか触れないか程度で、そっと動かすに留めたい。カメラ用のブロワーで、埃を払う方法も有効。
6)仕上げ
全体の埃が払えたら終了。外した部材があれば元に戻し、最後に欠損等ないか全体を観察。可能であれば、作業後の状態を撮影しておく。
応急処置でさっとお身ぬぐいした時にもよく言われることだが、仕上げに入ると、お像は、どこか誇らしげに、嬉しそうに見えてくる。
気のせいかもしれない。けれど、埃を払われた木地は、確かに、一段明るくなる。
7)安置場所の掃除
仏像清掃の前後、どちらでも構わない。私は、後にすることが多い。
8)お仏像を安置場所にお戻し、合掌。
工房では、作業前後に必ず記録写真を撮影する(前・後・左・右)が、ご家庭では必要に応じて検討されたい。
信仰上憚れる場合や、撮影環境がない場合もあると思う。ただ、1枚でも記録として写真が残っていると、破損や紛失が生じた際に、重要な資料となることがある。これもまた、仏様とご相談いただければと思う。
汚れでも、欠損でも、何かご心配な点がある場合は、無理に扱わず、プロに相談するのが安心ではある。一方で、日頃の簡単なお手入れを続けることで、お仏像を良い状態でお祀りすることができ、割れや緩みといった異常の早期発見にもつながる。
互いに、仏様を護持する協力関係であれたら嬉しい。
埃を払う、そのひと手間が、仏様との日々の関係を、また豊かにしてくれる。私はそのように実感している。
年末の忙しさの中で、こうして立ち止まる時間は、贅沢かもしれない。埃にさえ、宇宙を感じるのは、仏様の前だからだろうか。
仏様と共に、どうぞ、穏やかな年末年始をお過ごしください。
合掌低頭


