現代造佛所私記 No.254「チャパン、チャプ」

チャパン、チャプ、チャパン、チャプ

ゆっくり湯船に浸かり、首元に湯をかけていた。その湯面が立てる音のリズムが、少し意識の深いところに響き始めた。

不意に、幼い日の記憶が立ち上った。

六つくらいの頃、私はよく、今は亡き祖母の家に預けられていた。お風呂に入ると、祖母は私を当たり前だが幼児として扱った。

実家とは違うシャンプーで髪を洗い、草穂のような爽やかな香りのリンスですすいでくれた。そして、家では母が「肌が痛むから」と嫌がって避けているナイロンタオルで、体を洗ってくれた。

びっくりするほど泡が立ち、幼い私はきめ細やかな泡のボールを見て、心が弾んだ。泡がシュワシュワ弾ける音に耳を澄ませながら、祖母に委ねつつ踏ん張って仁王立ちしていた。祖母は、そこそこの力をかけて、背中をゴシゴシ、胸元やお腹をくるくる洗ってくれた。そして、耳の後ろは特に念入りに磨いてくれた。

「耳の後ろはいつもしっかり洗うんぜぇ」

目を細めながらそう言っていた声がよみがえる。

今、私は娘に、まったく同じことを言っている。

チャパン、チャプ、チャパン、チャプ

そうだ、ピカピカに私を洗い上げた後、祖母が、私の首や肩にお湯をかけてくれていた。あの音だ。

あの時の湯の感触や、柔らかな肌へのあたりが、祖母の心を想像させる。

そうだ、私はおばあちゃんっ子だったのだ。

「チャパン、チャプ、チャパン、チャプ」

その音をじっくり楽しんでお風呂から上がると、夫が待ちかねたように脱衣所へやってきた。

てっきり私が最後だと思ったら、彼はまだ入っていなかった。朝が早いのに、申し訳ないことをしてしまった。

チャパン、チャプ、チャパン、チャプは、ほどほどにしよう。

お待たせしてごめんなさい。