現代造佛所私記 No.213「ベルリンからの便り(前編)―偶然の符合」

七月上旬のことだった。ベルリンに住む青年Mさんから、一通のメールが届いた。

「あなたの仕事が木工家具とは直接関係がないことは承知しています。無礼な申し出と思われないかと案じておりますが、日本で木工や家具製作の実習先を見つけることは大変難しく……」

インターン受け入れ先を探していて、情報を求めているという主旨で、丁寧な英文が綴られていた。日本文化への敬意、禅への関心に触れた詳細な経歴書も添付されていた。家具製作と仏像製作という専門の違いを承知のうえで、それでも勇気を出して送ってくださったのだと伝わってきた。

Homo Faber Guideで代表仏師の情報を見つけ、わずかな糸口に賭けた真摯さが、行間に滲む。

思えば、不思議な巡り合わせだった。このメールが届くほんの数日前、龍笛の稽古仲間のYさんから「知り合いの家具職人さんのリーフレットをデザインさせてもらったんです」と、ご紹介を兼ねて地元の職人さんの資料をいただいたばかりだったのだ。

まるで地中で根が通じ合っているように、偶然にしてはあまりにも絶妙な符合だった。見えない道が、すうっと引かれているような気がしてならなかった。

何度か彼とやり取りをメールでして、インターンシップの内容についての希望やコミュニケーションの方法について、簡単なヒアリングをした。

木工に関わる知人は県内外にいるけれど、できれば森林率No.1の高知で、ぜひお受け入れできればと思った。

ただ、英会話が可能であることが条件で、1ヶ月ほど宿泊・食事も可能、事前にオンラインで打ち合わせができる環境が必須であることを考えると、希望時期までに合致する受け入れ先が見つかるだろうか?とやや不安もあった。

その上で、龍笛仲間のYさんに打診してみたところ、この偶然の符号から不思議な展開を見せていくのだった。(後半へ続く)