明日、ある神社のご本殿創建150年を記念した雅楽奉納演奏を控えている。 今日は、出先での用事を済ませ、その神社にお詣りに出かけた。
静かな境内をご本殿の方へ足をすすめると、ぽつ、ぽつと雨が降り出した。この天気のせいだろうか、私たち家族以外、他に参拝客はいなかった。
神様にご挨拶とお祝いを申し上げると、娘はパッと社務所へ駆けていった。「お守り」が大好きなのだ。私も小走りに娘を追いかける。
かわいいお守りを前に迷う娘を待ちながら、宮司さんらしき方に話しかける。「明日はお天気どうでしょうね」 「今はこういう季節ですから…。まあ、大丈夫でしょう。」優しいお声だった。
「このいちごのお守りにする!」娘は一際小さないちごがらのお守りを指差した。「子ども守りですね」微笑んで手渡してくださった。
財布を取り出そうとした時、どこからともなく龍笛の音色が聞こえ始めた。娘が「と〜ら〜ろ」と唱歌を合わせる。家でもよく演奏する「越天楽」。娘は自然と覚えてしまったのだ。
お守りのお釣りを手渡しながら、「横は通夜殿です。明日雅楽の演奏があるので今は準備で締めていますけど…」宮司さんらしき方がやわらかに答えてくださった。
2年くらい前だっただろうか。家族で訪れた日のことがよみがえる。
その時もたまたま境内には誰もいない日だった。静けさのなかで彫刻が見事な社殿を、家族三人でゆっくり拝見した。
「あの時、さっちゃんは着物を着ていたね」
夫が思い出して言う。そうだったっけ?私は自分の格好は覚えていないが、誰もいない境内で龍笛をお供えしたくて、うずうずしていたことは覚えている。
「杉だ!」 娘の大きな声にハッとして指差す方を見ると、大きな御神木が通夜殿の横にどっしりと立ち上がっていた。
娘は、葉で杉を見分けられるようになったと胸を張る。
「じゃあ、あの木はわかる?」と当てっこをしながらも、この場所が放つ清らかな気配に心が澄んでいくのがわかった。
そうだ、2年前に訪れた時は、ここで演奏の機会をいただけるとは夢にも思わず、ただウズウズしただけだった。けれど明日、この社殿でご本殿創建150年を記念する雅楽奉納演奏に、私も参加させていただく。
雨のしずけさと、あの日の静けさが重なり合う。 明日は、この静寂を胸に笛を奏でよう。
正一位 大川上 美良布神社
御本殿創建百五十年記念
【雅楽奉納演奏と白拍子舞】
〒781-4211 高知県香美市香北町韮生野243
| JR土佐山田駅よりバスで約25分 アンパンマンミュージアムから徒歩約1分 高知龍馬空港より車で約40分 |
令和7年 9月21日(日)13時〜
【演目】
・白拍子の舞
・地元小学生による巫女舞『豊栄の舞』
・雅楽演奏
(管絃)平調音取、越天楽残楽三返、陪臚
(舞楽)右方 抜頭
※観覧無料



