夏休みの終わり、小学生の娘の壮大な宿題を、家族総出でサポートすることになった。
今夏のハイライトは、自由研究と図画だ。
机いっぱいに画用紙や絵の具、模造紙が広がり、夜更けの作業が始まった。
両方とも、夏休み前からテーマを決めていて、図画は、実家の老猫、チャトラ翁を描くことにしていた。自由研究は、接着剤の実験だ。
図画については、休みの中弛みか、どこか手を抜いたような色塗りで済ませようとしていた娘だったが、チャトラが闘病していること、もう長くないことを話すと、「やっぱりちゃんと描きたい」と言い出した。
筆の運び方、絵の具の混ぜ方、色のつくり方。私も誰かに習ったわけではないが、これまでの経験から伝えると、彼女は「わ!立体的に見える!」「なるほど!」と目を輝かせた。
その絵を描いていたさなか、チャトラは静かに天国へ旅立った。
集中がきれ、途中で投げ出しそうになりながらも、休憩をうまく挟みつつ少しずつ筆を進めた。
チャトラ旅立ちの報をうけ、「あぁ、もうチャトラはいないんだね」とつぶやくと、「お母ちゃん、悲しまないで」と娘が声をかけてくれた。その言葉に胸を突かれつつ、娘が根気強く最後まで描き上げた絵は、チャトラの姿をもう一度こちらに呼び戻してくれるようだった。
一方、自由研究も大仕事だった。実験を終え、下書きもできて、写真を印刷し清書に書き写す段階に入ったところで、レイアウトがどうにも定まらない。模造紙は四枚しかない。字を大きく書き出したら一枚で収まりきらず、二枚目以降は半分の大きさで書くしかなかった。結局、清書は翌日に持ち越しとなったが、彼女が一人で書き上げなければならない部分を、私たちも枠線を引いたり声をかけたりしながら支えた。
夜更け、瞼が重くなりながらも、一生懸命に筆を動かす彼女の姿があった。大変ではあったが、なかなか遊ぶ時間を取れなかったこの夏、こうして模造紙を囲みながら過ごした時間は、家族にとって一つの交流のひとときとなった。疲れと笑いが入り混じったその夜も、きっと夏の思い出のひとつになるのだろう。
思えば、仕事もこなしながら、娘の大プロジェクトをアシストし続けた数日間は、まさに目が回るような日々だった。けれど、その慌ただしさも含めて、この夏を象徴する光景として心に残っていく気がする。


