現代造佛所私記 No.317「消えた集落を歩く」

小学生の娘からの提案で、人が去った隣の集落を目指し、自宅から歩いてみることにした。 途中から携帯の電波は入らなくなり、人の気配も消える。ときおり、山奥で作業しているらしいトラックが通り過ぎるくらいで、あとは沢の音と、たま...

現代造佛所私記 No.312「運慶忌とうんケーキ」

娘の冬休みの作文に、運慶忌のことが書かれていた。 我が家でいう「運慶忌」とは、仏師・運慶の命日に、その遺徳を偲んで営む、ささやかなお茶会のことである。 「一月三日、うんケーキを作って食べました」 原稿用紙をのぞき込んだ私...

現代造佛所私記 No.307「文殊さまの功徳」

本日も、晴れ着で初詣に出かけた。 午後、竹林寺さま(高知市)にお詣りすると、本堂の前にはすでに長い列ができていた。老若男女、途切れることなく人が並び、ゆっくりと進んでいく。 読経の声、参拝者がつく鐘の音。正月らしい賑わい...

現代造佛所私記 No.306「元旦に看脚下」

新年の朝、吉田家揃って神棚に手を合わせる。 祝詞を奏上し、日本国の弥栄を、この世界の平和を今日ばかりは臆することなく祈る。 さて、正月飾りを改めて眺めてみると、しめ縄も、おせちも、干支のオブジェも、手作りのものばかりとな...

現代造佛所私記 No.305「大晦日」

工房の年越しは、いつものリズムに、氏神さまへのお詣りや、大掃除、おせちづくりなどが加わり、年の瀬らしい活気を帯びる。 ひとつひとつの支度が、年の終わりという節目を、静かに際立たせてくれる。 台所でおせちが完成する頃、夫と...