現代造佛所私記 No.398「鉱石、ふたたび」
5年前、娘が5歳の誕生日のお祝いで、遊園地へ行った。 当時、「魔法のステッキ」を抱きしめたまま眠った娘の姿を、「心に潜む鉱石」と題して書いた。記憶はあいまいでも、何かが心のひだに沈んでいる。そんな記憶の断片が、洞窟の鉱石...

5年前、娘が5歳の誕生日のお祝いで、遊園地へ行った。 当時、「魔法のステッキ」を抱きしめたまま眠った娘の姿を、「心に潜む鉱石」と題して書いた。記憶はあいまいでも、何かが心のひだに沈んでいる。そんな記憶の断片が、洞窟の鉱石...
久々に、大家さんと立ち話をした。 今年80歳になる大家さんは、車を一時間ほど運転して山の手入れにいらっしゃる。長らく東京の大企業でバリバリのビジネスパーソンをされていて、退職されて高知へ戻られて久しい。 今は、山仕事もお...
看護の現場で、チームビルディングで、対人関係の中で、カウンセリングの場面で。 様々なフレームワークに助けられてきた。看護モデル、病気のステージ、心の発達モデル、成長段階モデルやクリニカルラダー。 先人がまとめた地図は、現...
娘が春休みに入った最初の朝、ゆっくり目が覚めた。 台所に、白いビニル袋がぽんと置いてあった。マジックで「蜩」と書いてある。 中には、肉付きの良い椎茸がゴロゴロと入っていた。 夫が言うには、朝起きたら郵便受けにあったという...
昨夜、脱衣所でふと振り返った時に、メガネの左のテンプルが「ほろり」と落ちた。 何が起こったのか、一瞬分からず、小さな固い音を立てて落ちたテンプルと、顔からゆっくりずり落ちようとするメガネに気づき、「あ、壊れた」と声が出た...
肉筆というのはいいものだ。ペンのインクや筆圧で凹凸のある便箋の尊さ。 先日の雅楽演奏会のニュースをご覧になった方から、お便りが届いた。 「雅楽演奏の陣容が整って、このように発表できるのは貴重なことと思います」 そう、「発...
百畳もある大きな凧が、風をうけて空に昇る。 液晶の中の空に、大きな武将の顔が浮かんでいる。年々大きくなっていったという郷土の凧「土佐凧」は、最大百畳になったという。こんな挑戦をする人たちがいた。 それは文章読むよりずっと...
——ガタンゴトン。 列車の走行音で我に返ると、紗枝は、出入り口の隣に立っていた。ぼやけた視界の真ん中で、吊り革の揺れが、ぴたりと止まって見える。バッグを両手で抱えたまま、いつの間にか眠っていたようだ。 周りには、疲れた顔...
懐紙を一枚取り出し、ピチリと角を合わせ折りたたむ。 特別なおもてなしを受けて、吉田仏師も私も驚き、恐縮していた。あぁ、お懐紙を持ってきてよかった。数寄屋袋を足下に寄せながら、座り直す。 とはいえ席は終始和やかで、普段は嗜...