現代造佛所私記 No.266「コインランドリーも他生の縁」

諸事情があって、夫は久しぶりに、私は生まれて初めて、コインランドリーというものへ足を踏み入れることになった。 夜のとばりが降りて、通りを歩く人の姿もまばらになった頃。洗濯物を詰めた大きな袋を三つ、二人で分け合い、灯りのと...

現代造佛所私記 No.264「電動歯ブラシと背中 (後編)」

のと里山空港から最初の寺院へ向かう道中、崩れた道路や、震災後の豪雨の爪痕が、なまなましく残っていた。まだ余震も続いていた。 タクシーの窓から見る景色には、ずっとずっと昔から続く、家族の、地域の暮らしの佇まいがあった。私た...

現代造佛所私記 No.263「電動歯ブラシと背中 (前編)」

ちょうど一年前のこと。本格的な木枯らしが吹き始める直前の一週間、私たちは国の文化財レスキュー事業の一環として、能登半島地震で被災した仏像の応急処置のために能登へ向かうことになっていた。 当時、娘は小学二年生。留守のあいだ...