現代造佛所私記No.129「節」
ぼんやりと、両目に焦茶色の楕円形が映っている。 それは、黄土色の平面の真ん中に、ちょこんと居座っていた。 私は胡座をかいて、手のひらを重ねて座っている。折り畳んだ足と手を背骨にぶら下げ、城満寺(徳島県)の住職である田村さ...

ぼんやりと、両目に焦茶色の楕円形が映っている。 それは、黄土色の平面の真ん中に、ちょこんと居座っていた。 私は胡座をかいて、手のひらを重ねて座っている。折り畳んだ足と手を背骨にぶら下げ、城満寺(徳島県)の住職である田村さ...
「1000日毎日書き続ける」と決意して、128日目。 不思議なことに、100日を過ぎたあたりから、今が何日目かは気にならなくなってきた。 「書く筋力」というものがあるとしたら、きっと少しは鍛えられてきたのかもしれない。 ...
一日の終わり、寝かしつけのひとときは、子どもにとって、ささやかな旅のようなものかもしれません。そんな夜の「おやすみ」までの流れを、もしも寝台列車に見立てたら。今宵は、わが家の「夏の宵発・ぐっすり行き」寝台列車にご案内いた...
「こちら、ほぼ100年前のもので……こういう状態ですけど、貸し出し可能です。」 司書の女性がうやうやしく差し出したのは、3冊の古びた書籍だった。タイトルも擦り切れ、背表紙もぐらついている。 図書館の書庫に保管されているそ...
人里離れた山の麓にたたずむ、仏像工房。ある日届いた真新しい修理報告書。その中の「台座の画像」が、なぜか半分しか写っていなかった。関係者たちは、ミスが起きた30分間をめぐって、慎重に記憶をたどりはじめる。浮かび上がる、わず...
人里離れた山の麓に、静かにたたずむ仏像工房。手作業の温もりと、デジタル文化が共存するその場所に、ある日ひとつの“綻び”が見つかった──真新しい修理報告書の中に、半分だけ消えた台座の画像。 誰が、いつ、どこで、それを見逃し...
【前回までのあらすじ】人里離れた山の麓の仏像工房。真新しい修理報告書に見つかった、ひとつのミス。あの日の、それぞれの行動をたどりはじめる。謝罪し、挽回しようとする事務補助の松田さん。対話を進める事務長。「──午後四時半か...
【前回までのあらすじ】 仏像工房で春休みのアルバイトを始めた大学生・高木。どこか懐かしい空気が流れる工房での日々に、少しずつなじみ始めていた。 そんなある日、ようやく完成した修理報告書に画像ミスが発覚──慌てる高木たちの...
【前回までのあらすじ】春休みに仏像工房「造佛所」で働きはじめた大学生・高木。ある日、完成した仏像修理報告書に画像ミスが見つかり、工房にちょっとした動揺が広がる。お茶を淹れながら、事務長がつぶやいたのは──「チーズの穴です...
【前回までのあらすじ】地方の文化に関心をもつ大学生・高木は、春休みに仏像制作・修復を行う「造佛所」で働き始める。人里離れた山の麓にある工房には、物静かな仏師、柔らかな語り口の事務長、気さくな事務補助の女性、そして2匹の猫...